「夢」
《Image》
夢見心地の雰囲気に包まれて、ゆらゆらと心地よく漂っている浮遊感。まるで恋歌の持つ、あらゆるくつろぎと切ない想いをあらわしているかのよう...
《Memo》
「夢」は1890年の作品とされ1891年に出版されました。ドビュッシーは、この曲をはじめとする初期のピアノ曲が世に出ることを好まなかったといいます。この頃の小品に、他の作曲家の影響がまだ現れていることを非常に気にしていたと伝えられています。しかし、ロマンティックなこの曲は、今日ではさまざまに編曲もされて、ムード音楽のように親しまれています。
中世のドリア旋法と絶妙な和声を用いた冒頭の部分を聴いただけで、浮遊した状態に包まれてしまうのはドビュッシーならではですね。美しい主旋律が、ときには狭い音域内で、ときには広い音域に広がって、幸せな気分に浸らせてくれます。ゆったりと落ち着く音楽の中に緊張感が漂よって、知らず知らず、揺り動かされてしまいます。
《Play Notes》
穏やかで流麗なメロディーを夢見ているように美しく演奏するためにも、柔和な音、特に伴奏の広がりを、できるだけレガートに弾きたいと思います。ペダルによって和声的リズムが生まれてくるようですので、色々なペダルを試してみて色彩を出してみたいですね。コラールふうの4声部になる響きの豊かなところや、最初の旋律が印象的な形で再現されるところなど弾いていて魅力を感じます。