「”ピアノのために”より プレリュード」
《Image》
軽やかな動きの中に鮮やかな色彩感が含まれている

《Memo》
1901年に出版された『ピアノのために』は古典組曲を思わせる標題のついた3曲から成りますが、過去の音楽を振り返るような内容ではありません。ドビュッシー独自の語法が見え始めていると同時に、ピアニスティックな色彩美が溢れています。『ピアノのために』という標題からドビュッシーが本格的にピアノ音楽に取り組もうとした決意が伺われます。

『ピアノのために』より第1曲『プレリュード』には、J・S・バッハから受け継いだ伝統を感じます。オルガン・トッカータ特有の豪華絢爛さ、ペダル・パッセージや保続音の分割法、その基本は18世紀のオルガン芸術です。第1主題と最後のカデンツァは、『ニ短調トッカータ』を、情熱的に荒れ狂うような第2主題は、『ト短調幻想曲』を思い起こします。そして、たえまない運動は、周期的に和声をもりあげることによって効果を出す『神聖なアラベスク』のようです。

《Play Notes》
冒頭に「かなり動いて、非常にリズミカルに」と指示があるように 、リズムをはっきりと取り、アクセントは明確に、メロディーはレガートで流れるように弾きたいと思います。低音の音をソステヌート・ペダルでとり低音が残るようにし、リズムが崩れないで和音をはっきりと出せるよう演奏したいですね。ピアノの可能性を引き出して大胆に威風堂々と!