「水の反映」
《Image》
水に映った風物の輝き、ゆらめき。和音とすべるようなアルペジオが織りなす得も言われる透明感。水鏡に伸び縮みする緩やかな影像
《Memo》
ドビュッシーは『映像(イマージュ)』と題した曲集をピアノのために2集書きました。「水の反映」は1905年に作曲された第1集より第1曲。水面に映る光と影の織りなすイマージュが、ドビュッシーならではの精妙なタッチで描かれています。
ドビュッシーが水の中に見たものは、光と水の戯れによって作り出される、驚くほど変化に富んだオパールのような輝きと、ドビュッシー自身の繊細なデザインの反映だったのではないでしょうか...
モネなどの印象派絵画の溢れるような色彩感覚と透明なゆらめきを、そのままピアノの響きの中に展開したかのようです。ショパンを「ピアノの詩人」というなら、ドビュッシーは「ピアノの画家」なのかも知れませんね。
《Play Notes》
かなり抽象的な曲ですので、何度も弾いたり聴いたりしてようやく「心におよぼす」働きが見えてくるように思います。そして、ただ器用に指を動かすだけでは弾きこなせない難しさに、いつも苦労しながらも魅力を感じてしまうのでしょうね。独特の和声、複雑なコラージュを組み立てながらの空中浮遊といったところでしょうか。また、微妙なペダリングで万華鏡のように変化することに驚かされます。