Little Players News
No.15 1999年 6月号
爽やかな風が初夏の訪れを感じさせます。家々の庭の草花が大変美しく、散策の楽しい季節となりました。発表会の曲も決まりこれから秋に向けてがんばっていきましょう。
♪ ベートーヴェンについて@ ♪
(1770〜1827)ドイツ・古典音楽
誰もがベートーヴェンをご存じだと思います。音楽室の壁にひときわ気むずかしい顔をした肖像画が貼られていた事を覚えている方も多いでしょう。
1770年、ベートーヴェンは西ドイツのボンという町で生まれました。父ヨハンは宮廷楽団のテノール歌手でしたが、飲んだくれで、生活は大変に貧しかったようです。ベートーヴェンに音楽の才能があると知った父は、「第2のモーツァルト」を夢みてベートーヴェンを教育し始めました。もっとも、それはただ欲にかられての教育でしたが。ベートーヴェンを“神童モーツァルト”のように売り出そうと、歳を2歳若く偽ってデビューさせたというのは有名な話です。ベートーヴェンは21歳の時、ハイドンに招かれて音楽の都ウィーンに移り住みました。次第に作曲家としての名声を上げ、発表する作品はいずれも好評をもって迎えられるようになりました。ところが30歳の頃から耳の病気がはじまり、31歳にはウィーン郊外のハイリゲンシュタットで有名な遺書を書き、これを1つの転機として作曲家としての第2期へと移っていきます。作曲家として、耳疾を世間に知られることを恐れたベートーヴェンは、次第に社交界から離れ、人間嫌いとなり、孤独な散歩を愛するようになりました。「運命」「田園」などの交響曲は、ハイリゲンシュタットの美しい森を歩きながら作曲されたものです。第3期、45歳の頃は演奏会での華やかなページが繰り広げられ生涯で最も輝かしい時期でもありましたが、聴覚はほとんど失われ、霊感だけに頼った創作活動の時期なのです。その中で作曲されたのが「第九交響曲」です。ベートーヴェンが53歳の時でした。聴力を全く失っても、音楽家としてひたすら想像の音の世界に生き、遙かに時代を超えた黙示録的作品の数々を残したベートーヴェン。彼は一生を孤独な独身生活で過ごし、1826年3月26日56歳で、苦悩の生涯に終止線を書き込んだのでした。