Little Players News
No.23 2000年 2月
寒さが厳しい季節となりましたが、風邪に負けないようなホットな音楽を奏でましょう♪
ヨハン セバスチャン バッハの作品 U
「平均律クラヴィーア曲集」
19世紀の指揮者ハンス・フォン・ビューローは、バッハの「平均律」を旧約聖書に、ベートーヴェンの32曲のピアノソナタを新約聖書に例えたということで有名ですが、ピアノで弾くバッハの作品の中で、中心的存在となるのは、「平均律クラヴィーア曲集」でしょう。第1集、第2集合わせて48曲からなるこの曲集は「不滅の48」などと呼ばれ、古今を通じての名曲として知られています。それぞれの巻には、すべて調(性)の違う24曲のプレリュードとフーガを対にした形で収められています。この曲集に影響を受けた作曲家も多く、ショパンの「24のプレリュード」などは有名ですね。
「平均律」とは、1オクターブを12の半音に平均に分けたという意味で、今皆さんが弾いているピアノの調律方法の事です。18世紀以前には色々な調律の方法があったそうなのですが、平均律はすべての調(ハ長調からロ短調まで)が「ほどよく美しく」響く調律法です。バッハは、この平均律の素晴らしさを証明するとともに、「音楽を学ぼうとする若い人たちの役に立つように、また、この勉強にすでに熟達した人たちには、格別の気晴らしとなるように」1722年にこの曲集を完成させました。
バッハは音楽教育というものを大変重んじていたということですが、レッスンでは、初めの半年から一年は、指の練習だけを生徒に指導したそうです。やがて、いろいろな練習を組み合わせた小品を書いて、生徒に与えました。「六つの小プレリュード」や二声の「インヴェンション」という風に。バッハのレッスンの、もうひとつの特徴は、バッハが生徒にみずから課題となる作品を弾いて聴かせることでした。それはどんなに素晴らしいことだったのでしょう!
おすすめのCD
「グレン・グールド」
ソニークラシカルSM2K52600 1962〜1965年録音
先月に続き鬼才グールドの新しい奏法と演奏解釈。フーガが聴きどころで、ノンレガートを駆使した独自なタッチと集中力で各声部を見事に演奏しています。歌って弾いているのも面白いですよ。