Little Players News
No.24 2000年 3月
雪解けと共に日差しが眩しく、春の訪れを感じる季節となってきましたね。
バッハの想い出
高校1年の春休みに、習っていた先生のご紹介で、音大の先生の門をたたきました。当時レッスンを受けていた、バッハの“イタリア協奏曲“と“シンフォニア“をレッスンに持っていったのですが、「初めてのレッスンにバッハを持ってくるなんて、なかなか度胸があるわね!」と言われ、音大受験に向けてのレッスンを引き受けてくださいました。初め「度胸」の意味が分からなかったのですが、2回目のレッスンで「今までのレッスンのことは忘れなさい。」と言われ、来る日も来る日も、それぞれの声部における「テーマ」を明確に演奏する練習の中で次第にその意味がわかってきました。毎回違う色の鉛筆を使い、折れんばかりの勢いで力強く「テーマ!」と書かれていく楽譜を前に、少しずつではありましたが、「テーマ」が浮き出てくるのがわかるようになると、バッハの音楽本来の重厚さを感じられるようになりました。このような経験もあり、バッハの音楽を想うとき、いつも音楽の深さとそこに触れることの喜びと難しさを感じます。 余談になりますが、理数系が得意だとバッハを理知的に演奏できるのだそうです。 残念ながら私は文系の方が得意でした。
ヨハン セバスチャン バッハの作品 V
「イタリア協奏曲」ヘ長調 BWV.971
バッハのクラヴィーア作品中でも、最も人気のある作品のひとつで、1753年に出版されました。バッハを時代遅れと批判したシャイベでさえ、「単一楽器の協奏曲の模範」として絶賛を惜しまなかったそうです。
おすすめのCD
「ラローチャ・プレイズ・バッハ」
LONDON POCL-3788 1972〜1978年録音
スペインのピアニスト、ピアノの女王アリシア・デ・ラローチャ。明るく磨き抜かれた音色と持ち前のリズムの切れの良さで、豊かなうた心に満ちあふれた演奏です。