Little Players News
No.37 2001年 4月
雪の下から、可愛らしい芽が出てきました。春がそこまでやってきているようです。
今月はモーツァルトの5歳上の姉、マリア・アンナ通称『ナンネル』(1751〜1829)についてお話したいと思います。
ナンネル
ヴォルフガング=モーツァルトの姉マリア・アンナは、通称ナンネルと呼ばれています。ヴォルフガング同様、姉ナンネルも早くから才能を見せ、弟ヴォルフガングとともに父レオポルドに連れられて、ヨーロッパ各地で見事な演奏を披露しました。ナンネルはピアノの名手であり、ヴォルフガングにとっては最上の耳を持つ聴き手でした。 当初、父レオポルドは彼女に音楽教育の心血をそそいでいましたが、息子ヴォルフガングの天性の才能に気付くと彼女への教育の情熱は薄らいでいった様です。 神童を弟にもった姉ナンネルは、やがてモーツァルト一家がその神童のためにすべてを犠牲にしていく中で、幸せではありませんでした。周囲の目は否応なく弟の方へ向いていき、ナンネルは忘れ去られていきました。そのまま成長していれば、きっと素晴らしい女流ピアニストとして通用していたでしょうに...残念な事です。
二人はとても仲の良い姉と弟でしたが、ヴォルフガングがコンスタンツェと結婚してから次第に仲たがいし,父親の死後はヴォルフガングとの付き合いは全く途絶えてしまいました。
二度の恋愛は実を結ばず、ナンネルは33歳の時、既に5人の子供がいる15歳年上の役人と結婚しました。 1801年に夫が死亡し、サルツブルグでピアノを教えていましたが、1820年に失明、78歳で亡くなりました。 死ぬまで彼女は心の中では弟、ヴォルフガングを誇りに思っていた様です。
ナンネルの音楽帳
モーツァルトの父レオポルド・モーツァルトが長女ナンネルの為に作った練習曲集です。 この音楽帳は簡単なバロック風から連符や装飾音符が満載の高度な曲まで全41曲です。発表会でも使えるし、プレインベンションとよく似た感覚でも使える曲集です。
モーツァルトは、わずか4才でこの本のかなりの曲数を弾きこなしていたのだそうですから、驚きですね。