Little Players News
No.52 2002年 7月
早くも7月がやってきました。夏です!皆さん、調子はいかがですか?
発表会に向けて、ご紹介したい作曲・作品について掲載したいと思いますので、それまで「バヘハモベ」コーナーはお休みします。
今月は、発表会で大人の生徒さんが中心になってチャレンジする作曲家「フォーレ」についてご紹介したいと思います。 フランス音楽の大作曲家といえば,ドビュッシーとラヴェルというのが一般的で,ガブリエル・フォーレの名はまだまだ広く知られているとはいえません。教室でも、ほとんどの生徒さんが知りませんでした。
フォーレ
ガブリエル・フォーレは1845年にフランス南部アリエージュのパミエに生まれました。9歳の時に見出されてパリのニデルメイエール古典宗教音楽学校に入学し、そこで生涯の師となり友人となったサン=サーンスとの出会いがありました。やがて彼は、パリ国立音楽院の院長、学士院会員にまでその道を歩むことになったのです。音楽史の上では、サン=サーンスから受け継いだ古典主義の流れをラヴェルに伝えながら、フランス近代音楽を黄金期に導いた作曲家です。また、フォーレは、サロン文化の中心的人物の一人であり、音楽家以外の多くの文化人達とも交流がありました。詩人のヴェルレーヌを世に出したのもフォーレなのです。 1924年、79歳で亡くなりました。
《夢のあとに》
フォーレは多くの歌曲を残していますが、「夢のあとに」は大変有名な曲で、フォーレの名をご存じのない方でも「シシリエンヌ」と同様に、きっと耳にしたことがあることと思います。ポール・ヴェルレーヌの詩との出会いによって,それまでのフォーレとは違う独自の美的世界を作り出しました。タイトルは「夢」ですが、楽しさや可愛さを表現したものでは無い様です。ささやかな希望、淡い期待としての「夢」。しかし現実はそんな小さな希望さえも見出す事ができない。そんな現実に対する絶望と孤独感、できれば現実から逃避してささやかな夢を見つづけたい、どうか見つづけさせて欲しいといった、切ない気持ちが感じられます。 旋律は叙情的で美しく、フォーレらしい洗練された作品です。