Little Players News

No.53 2002 8月

夏休み、いかがお過ごしですか?来月の発表会に向けて、夏バテしないように練習もがんばりましょう!

ギロック(1917.7.1〜1993.9.7)

ウィリアム・ギロックは、1917年にアメリカのミズーリ州の小さな田舎町ローレンスカントリーに生まれました。ニューオーリンズで20年あまりピアノ教師をしながら、子どものための多くのピアノ曲を作曲しました。ギロックの作品は、どれもみな表情豊かなイマジネーションにあふれ、小さな小さな曲の中にも、豊かな世界を持っており、美しいメロディ、独特のハーモニー、リズムの面白さなど個性的な魅力にあふれています。また作風も、ロマンティックなもの、クラッシックなもの、教育上たいへん有用なポリフォニック(多声部)なもの、そして、いかにも米国の作曲家らしいフォーク・スタイルやジャズ・スタイルなものとさまざまなタイプがあり、多くの人に親しみやすさを感じさせるものです。それらの作品には、ギロック自身が現場の教師であったこと、また、苦労して音楽を学んだことが、作曲上の大きな特色となって表れています。


《叙情小曲集》

「ギロックの名前は世界中のピアノの先生に魔法をかける」とアメリカの音楽雑誌で賞賛されました。

私のホームページでもギロックの「叙情小曲集」を全曲とり上げて演奏していますが、すべての調における24の小品は「ロマンティック・スタイル」となっています。1曲1曲は、とても短い曲ですが、響きが美しく、タイトルからのイマジネーションが湧いてくる素敵な曲集だなと思いました。

ギロックは「心でピアノを弾くこと」「自分をしっかり持つこと」を教えてくれました。テクニックは派手な演出のためにあるのではなく、自分の心を素直にそのまま表現し演奏するために存在するということです。ギロックがもっとも大切にした「ロマンティック・スタイル」。魅力的な曲を真に魅力的なものとして聴き手に伝えるためには、演奏者の持つ感性がとても重要な要素であるということを、気づかせてくれるスタイルでもあります。