Little Players News

No.56 2002 11月

冬の使者、雪虫が飛ぶ季節となりました。風邪などひきませんように。

ロマン派音楽 E

バヘハモベウロシュメショシュリワブ…

今月はショパンと同じ年に生まれたシューマンです。

シューマン

シューマンは、1810年ドイツのツヴィカウに生まれました。 父親の影響で小さい頃から音楽や文学に親しんで才能を発揮していましたが、家庭の事情で、20歳の時にようやくピアノ教師ヴィークに師事する事になります。初めはピアニストになろうとして猛練習しましたが、練習方法に問題があり、22歳の時に指を痛め断念、作曲に専念するようになります。ヴィークの娘でピアニストのクララに恋したシューマンは、クララに弾いてもらうために作品を書きましたが、ヴィークに猛反対され裁判で争ってまで最愛のクララと結婚できた時は30歳になっていました。シューマンが作曲した曲をクララが演奏し、音楽家として広く名声を得るようになりますが、幼い頃からの心の病が悪化して次第に精神的に不安定になっていきます。クララの献身により一度は回復したものの、44歳の時にライン川へ投身自殺を図ります。幸い救出されますが、そのまま2年半 精神病院での入院生活を経て1856年に46歳の若さでその生涯を閉じることになったのです。HappyEndとは言えそうもありませんが、クララの父親とも和解し、最愛の妻と共に作曲家として、叙情と夢があふれる数々の名曲を残した事は素晴らしい事です。


《トロイメライ》

『子供の情景』より第7曲の《トロイメライ》はドイツ語の「Traum」(トラウム=夢)から派生した「夢をみること」という意味で、シューマン28歳の時の作品です。楽譜ではわずか1ページの小品なのですが、シューマンの代表作であるばかりではなく、「エリーゼのために」や「子犬のワルツ」などと並んで、誰もが知っている有名な曲ですね。余談になりますが、ホロヴィッツという偉大なピアニストが、コンサートの最後にアンコールでよく《トロイメライ》を弾いていました。このうえない優しさに包まれた音です。涙を流して聴き入る聴衆。そして、おしまいですよとパタンとピアノの蓋を閉めるのが、とても印象的でした。