Little Players News
No.64 2003年 7月
暑くなってきましたね。もうすぐ夏休み。発表会の練習もはりきって!
先月は、ピアノのルーツについてでしたが、今月は、ピアノは、なぜ楽器の王様と呼ばれるのかについてお話ししましょう。
ピアノはオーケストラ
動物の王様と言えばライオンですが、ピアノは楽器の王様と言われています。それは、ピアノの音域の広さ、自由に音に強弱が付けられる点、多彩な音色を表現できる点、同時に鳴らせる音の数などの、他の楽器にはない長所と特徴がある為で、実際、ほとんどの音楽がピアノ1台で演奏できますし、ピアノ協奏曲などオーケストラと合わせる曲の練習などで、ピアノがもう一台あれば、そのピアノでオーケストラの代役ができるというのもピアノならではですね。ベートーヴェン以前は、作曲家が自作曲を自分で演奏していました。19世紀になり職業としてのピアニストが登場し、大勢の聴衆を集めてコンサートを開くようになると、家庭のあいだにも、ピアノの人気が広がっていきました。ピアノ曲はもちろん、オペラや歌曲、賛美歌などの音楽を、(上手下手はともかく)“キイを押せばすぐに音が出る”ピアノという便利な楽器で楽しんだのです。そのため、ピアノは「家庭の中のオーケストラ」とも呼ばれるようになり、さまざまな音楽が盛んにピアノ用に編曲されました。たとえば、リストは、ベートーヴェンの9つの交響曲、シューベルトやメンデルスゾーンの歌曲、ヴェルディの歌劇などをピアノ曲に編曲しています。ヴァイオリンの魔術師と呼ばれたパガニーニの曲は、シューマンもリストもブラームスも、その魅力的な旋律をピアノ用にアレンジしています。
倍音の魅力
レッスンで習った「フラジオレット(無声音)」を思い浮かべてください。ある音を鳴らした時にそれに影響されて響く音(倍音)がありますが、この音の含まれ方で、音色が変わってきます。フルートの音色とピアノの音色が違うのは、同じ”ド”という音を鳴らした時に一緒に響く倍音の含まれ方が違うからです。弾き方によっても含まれる倍音に違いが出るので、同じピアノでも、弾く人によって音色が違います。ピアノはとても倍音が豊かな楽器なので、上手なピアニストはこの倍音を自在に変化させることで、ピアノ1台で様々な楽器の音を表現してしまいます。一流のピアニストにもなると、同時に何種類もの音色を自在に操り、目を閉じて聴いていると「まるでオーケストラが居るみたい」に聴こえるものです。