Little Players News

No.70 2004 1月

新年あけましておめでとうございます。今年もはりきっていきましょうね!

いつか弾いてみたい憧れの曲 B 

私は、水にまつわる音楽が好きです。形があるようで無く、透明なようで透明でない、そんな変幻自在な水のイメージは、どこか音楽そのものと通じているような気がします。なかでも印象派のドビュッシーとラヴェルの水の音楽には深い思い入れがありますが、同じ「水」というモチーフでありながら、ドビュッシーの音楽では、水に映る影や映像を詩的なイメージでとられているのに対して、ラヴェルはピアニズム(ピアノ技法)が生み出す多彩な音響性を、変幻自在な水のイメージと重ね合わせていて、聴き比べてみると面白いですよ。

水の反映(ドビュッシー)
ドビュッシーは、映像《イマージュ》と題した曲集を、ピアノのために2集書きました。「水の反映」は、1905年に作曲された第1集の第1曲で、ドビュッシー独自のピアニズムを確立した傑作のひとつです。水面に映る光と影の織り成すイマージュが、精妙なタッチで描かれています。

☆想い出
ピアノ講師として独立する直前に、講師演奏で演奏しました。当時は合唱団のピアノ伴奏も勤めており、「水の命」という組曲用に作った水色のドレスを生かそうと思ったのが単純な動機でしたが、長いあいだ憧れていた曲でもありました。水に光が反射してキラキラと光るようなアルペジオが美しい曲です。

水の戯れ(ラヴェル)
ドビュッシーよりも前の1901年に書かれたこの曲は、ラヴェルの名を音楽界に知らしめた出世作です。ヴェルサイユ宮殿の噴水を見た詩人レニエが書いた詩、「河の神様は水にくすぐられて笑う」にインスピレーションを受けて作曲したと言われている曲で、水の動きそのものを描写したような主題に始りますが、全体はソナタ形式でまとまられ、ラヴェルの古典的な格調高さが感じられる曲です。

☆想い出
数年前に発表会で演奏しました。コンサートで感動して、どうしても弾きたくなり、その年にチャレンジしました。楽譜を見るとわかると思いますが、譜読みには苦労しました。東洋的な響きがとても魅力的な曲です。