Little Players News

No.85 2005 4月

長かった冬もようやく終わり、待望の春がやってきましたね!

もっと楽譜を読もう E 

今月は「暗譜」についてお話したいと思います。

「暗譜」
 単に音を覚えただけとか、見なくてもとりあえず最後まで弾けるというだけでは、暗譜とは言えません。 楽譜には作曲者の、その曲に対する様々なメッセージ(指示)が書かれています。 それらがすべてわかったうえで表現できて初めて暗譜と言えます。 試しにピアノを離れて楽譜だけ読んでみてください。 「こんなところにこんな記号が書いてある」などと新しい発見があるはずです。 そういう発見があるうちは暗譜したとは言えませんし、もっともっと楽譜から学べる事があるという事です。

つもり暗譜にご注意
 音だけなんとなく覚えて、暗譜した「つもり」になって、あとは楽譜も見ないで練習する人。 結構多いですけど、注意ですよ。 楽譜にはまだ、演奏のヒントがたくさん書いてあるのに、それを見ないで、なんとなく通し練習ばかりしてしまう。 「つもり暗譜」が、いつしか練習したつもりの「つもり練習」になるのです。 練習は、「もっと良い音で」「もっと綺麗に」と、上達するためにするのですよね? つもり練習では、いつしか楽譜を無視して、自分勝手な演奏を繰り返すだけになりますから、毎日一生懸命練習してもなかなか上達しません。 練習の時はいつも楽譜を見て、何か新しい発見ができるようにしましょう。
強弱はどうですか? 指使いはどうですか?

暗譜をする為に
 暗譜には、「目で覚える」「耳で覚える」のほかに、「運動で覚える」事も大切です。 両手だけではなく、片手づつ弾いてみたり、その音を生み出すための手の動きにも注意してみましょう。 「覚えなくちゃ」と思う前に、「この曲はどんな曲でどんな風に弾いたら綺麗に聴こえるのかな」などと考えながら楽譜を読んでみてください。 楽譜を頼るのではなく、楽譜から多くの事を学ぼうとする意識を持つと、自然と暗譜できてしまうものです。

体験談
 私が子供の頃習っていた先生は「暗譜」の宿題が多く、ツェルニーの練習曲とバッハのインヴェンション&シンフォニアは「暗譜」が必須でした。 その後、音大でも暗譜は当たり前でしたが、どんなに弾き込んだ曲であっても、ハタと音を忘れてしまう事はあり、私も何度か経験しています。 大切なのは、その時に、音楽を壊さずに、いかに切り抜けるか」という事です。 本当の意味で暗譜が出来て、その曲を理解できていれば、忘れた音は一瞬の事ですから、すぐ次に続けて曲の流れをキープすることができます。 そういう練習をこころがけたいものですね。