Little Players News

No.88 2005 7月

夏らしく暑い日が続いていますね。6月の目標「譜読み」はできましたか? 発表会に向けて頑張っていきましょう!

あなたにとって音楽とはピアノとは? B 

今月は私の高校時代を振り返ってみたいと思います。

私にとってのピアノ
高校生時代

 高校1年の時、念願のグランドピアノ(現在、レッスンで生徒さんが弾いているピアノです。)を買ってもらって、ますますピアノに夢中になりました。 そんな折、ピアニストであり東京音楽大学教授の弘中 孝先生にレッスンを見てもらえる機会に恵まれました。 曲はベートーヴェンのソナタ第1番の第1楽章。 プライベートレッスンという形で7人が受講。 最高齢であった私は最後に演奏したのですが、すっかりあがってしまって惨憺たる演奏となってしまいました。 しかし、暖かい心でレッスンしてくださった弘中先生。 落ち着きを取り戻して、ペダルの踏み方などを質問すると、事細やかに説明してくださいました。 ペダルの使い方は演奏上とても重要なのですが、楽譜には詳しく書かれていません。 弘中先生の、「ペダルは、あなたが感じたまま、足で踏むのではなく耳で踏むのです」という言葉が今でも印象に残っています。

音楽の道へ進むという事を決意した時、先生はまず声楽の先生を紹介してくださいました。 高校1年の冬から札幌の教室まで通って、一から声楽を教えていただきました。 高校2年の春からは、ピアノも音大の先生のもとに習いに行く事になりました。 もの凄く厳しい先生で、いくら練習していっても「ダメ、ダメ!」の連続。 子供の頃から習っていた先生には、ソルフェージュ、楽典などを習い、この頃は、なんと3人の先生に習っていました。 小樽の高校から帰ってきてすぐにピアノの練習。 夕食の後、更に夜11時頃まで練習の日々が続きました。 それでも、レッスンで先生は一度も「良し」とは言ってくれません。 何よりもピアノが好きだったのに、自信が無くなり、初めて挫折感に襲われました。 

いよいよ受験が近づいてきた時、恐ろしくなってピアノをやめたいと初めて親に言いました。 母は「普通の女の子のような生活ができない」ことを不憫に思って、やめても良いと言いましたが、父は違いました。 それまで全く無関心だと思っていた父に、「やめる前に受験曲を聴かせてもらおう」と言われたのです。 父が真剣に聴いてくれたので、緊張はしましたが心を込めて演奏できました。 父は何にも言いませんでしたが、壁にはってあったカラヤンのポスターを見て、「ベートーヴェンか・・・」とつぶやいたのです。無感心の振りをしながら、ちゃんとベートーヴェンだってわかるほど気にしていてくれているんだと思うと、嬉しくなって、ピアノを続ける勇気が沸きました。 人生が変わったかも知れない一言でした。