Little Players News

No.110 2007 5月

目に鮮やかなグリーンが登場する5月。お出かけしたくなる季節です。

練習曲(エチュード) ①

今月から、練習曲についてお話したいと思います。 

バイエル

ピアノを習っている人なら、「バイエル」というピアノ教則本の名前はきっとご存じだと思います。

フェルディナント・バイエル

ピアノ教則本「バイエル」の著者、フェルディナント・バイエル(1803年~1863年)。 ドイツで活躍した作曲家であり、ピアニスト、そして教育者でもありました。

バイエルは、ピアノ小品の作曲や、当時流行していた管弦楽曲やオペラの旋律などをピアノ用に編曲することで知られていたそうですが、残念なことにそれらはほとんど忘れられ、この教則本だけが今日でも使われています。 1843年に出版されたピアノ教則本が、40年ほど経った明治13年にアメリカ人メイソンによって日本に紹介され、広く日本で使われるようになりました。

バイエルの思い出

今は、たくさんの入門書があり、私はレッスンで小さなお子さんにバイエルを使っていませんが、私が子供の頃は、ピアノのレッスンと言えば、当たり前のようにバイエルから始まりました。 最初は「赤いバイエル」。 そして、それが終了すると「黄色いバイエル」。 小学校1年生から習い始めて3年生の頃はバイエルを卒業して「ブルグミュラー25」を弾いていました。 後半には結構難しい曲も出てきますので、どうやって合格したのか不思議な部分もありますが、1年半くらいで「バイエル」は終了したことになります。 子供心に「バイエル」は決して楽しい練習曲ではなく、印象に残っている曲は、106曲中わずか数曲しかありません。 面白くてどんどん進んだというより、きっと先生も早く終わらせてもっと楽しい曲を弾かせてあげたいと思っていらしたのかもしれません。

今では必要な部分だけ大人の生徒さんのレッスンで使う事がありますが、自身の体験と、レッスンで使ってみて、「バイエル」はピアノ演奏に重要なペダルが全く出てこない事と、使っている音域が狭すぎることに問題があると思います。 時々、他の教室で「バイエル」中心のレッスンを受け、ピアノ嫌いになり、ペダル奏法まで至らずにピアノをやめてしまったという話を聞く事もあり、教材選びとその使い方にはとても気を遣います。