Little Players News

No.117 2007 12月

今年も残りわずかとなってしまいましたが、皆さんにとって、どんな年でしたか?

練習曲(エチュード)④

今月は、指のトレーニングの代名詞のような存在、ハノンについてお話したいと思います。

シャルル ルイ ハノン

ハノンは、1820年フランスに生まれました。 教会のオルガニスト、ピアノの教授として名高く、60曲の練習曲を書いたのは、ローマの音楽院の名誉教授の頃でした。 1900年フランスで亡くなりました。

ハノンとツェルニー

ハノンと先月号でお話したツェルニーが書いた練習曲は、ピアノの練習曲の代名詞になるほど広く使われてきた教材です。 しかし、同じ「練習曲」でも、練習の性格はかなり異なります。 ハノンはウォーミングアップのような基礎練習、ツェルニーは、主にモーツァルトやベートーヴェンなどを弾く技術の練習になります。 様々な練習曲を上手に使って練習の効果を上げていけるようにしましょう。

ハノンの効果的な使い方

ハノンは3部構成になっています。

第1部:準備運動
第2部:さらに進んだテクニックを得るための練習
第3部:最高のテクニックを得るための練習


となっています。 
ハノンは1曲仕上げて、次の曲とへと進んで行くものではありません。 まとまった時間弾き続けることで、指の関節や筋肉の柔軟性を高めることが目的です。 ハノン自身も、毎日60曲を、通して弾く事を奨めています。 「あとがき」には、こう書かれています。
 「毎日この本を全部弾かなければなりません。 全部を弾いても、たったの1時間です。」 
私も子供の頃からハノンをレッスンで使っていましたが、先生に「全部弾いていらっしゃい」と言われた事はありませんでしたので、これを読んで正直なところびっくりしました。 音大受験のためには、スケール(音階)を全調暗譜する事は必須でしたが、ハノンを60曲全部弾くというのは大変な事ですよね。 私の経験では、全部弾くと最初の頃は2時間かかりました。 慣れてくると1時間30分程で弾けるようになりました。 ハノンをある期間毎日弾き続けた効果は目に見えて出てきますが、練習は多い日で6~8時間、毎日1時間30分をハノンに費やしてしまうと他の練習ができなくなりますので、練習中の曲に合わせて、ピックアップして、ハノンを効果的に使う様にしています。

練習は目標を持って

ピアノを習っている誰もが、もっと楽に上手く弾けたらと思っている事と思います。 正しい練習を重ねているうちに、次第に指は滑らかに鍵盤の上を舞うようになっていくことでしょう。 目標を持って、楽しい練習をしましょう。 練習曲も、漫然と弾くだけではなく、目的や効果を“意識して練習する”事が大切です。