Little Players News

No.118 2008 1月

2008年のスタートです。良い年になりますように!

練習曲(エチュード)⑤

今月は、ショパンの練習曲について、お話したいと思います。 単なる指の練習ではなく、芸術作品であるショパンのエチュードですが、作品10と作品25の、各12曲(全24曲)の練習曲の他に遺作の「3つの新練習曲」を加えて、全部で27曲の練習曲があります。

ショパンのエチュード 作品10

作品10として1833年に出版された12曲の練習曲は、1829年から約3年間に作曲されました。 ワルシャワ時代後期からパリ時代の初期の作品で、この頃、パリのサロンでは、ショパンは有名な作曲家、ピアニストとして知られていました。 この曲集はフランツ・リストに献呈されました。 


第3番 ホ長調 『別れの曲』

「別れの曲」として広く親しまれています。 このタイトルは日本のみで、原題の「Tristesse」は「悲しみ」や「憂鬱」を意味します。 ショパン自身がリストに「これほど美しい旋律を今まで書いたことがない」と語ったほどの自信作で、実はこの曲が練習曲として書かれたものだということを知らない人は多いのではないでしょうか。 夜想曲のような甘美な旋律が、憂いをもって歌われます。 中間部ではテンポが速くなり、16分音符による新しい旋律が生き生きと歌われます。 この部分は大変難しいのですが、変化する和音の響きは、ピアノならではの美しさを持っています。 その後で再び最初の曲想がゆったりと戻ってきます。


第5番 変ト長調 『黒鍵』

右手が1箇所以外全部黒鍵だけを使って演奏するため、「黒鍵」として知られています。 ブリランテ(輝かしく)の指示がある右手は、常に3連音の分散和音ですばやく動き、左手はリズミックなスタッカートの和音をうけもつ。 黒鍵のきらびやかな響きを楽しめる曲です。


第12番 ハ短調 『革命』

「革命」として有名なこの曲は、ショパンが演奏旅行でポーランドを離れていた時、祖国が、ロシア軍に対して革命を起こし失敗したという知らせを聞いて作曲されました。 急速な左手のアルペジオに乗って、右手のオクターブが絶望感や怒りを表現しています。 「革命」というタイトルを付けたのはショパンの友人でもあったフランツ・リストです。