Little Players News
No.125 2008年 8月
暑い日が続いていますが、夏バテしないように、さわやかにピアノを弾きましょう!
練習曲(エチュード)⑪
先月に続きピアノの魔術師といわれたリストの練習曲について、お話したいと思います。
超絶技巧練習曲
その名の通り、フランツ・リスト(1811~1886)のピアノ曲の中でも最も名技的な要素が強い作品です。 ショパンの練習曲と同じく、単なる指の練習曲ではなく、鑑賞を目的とした芸術作品でもあります。 全12曲からなり、今日知られる最終稿ができあがったのは1851年で、恩師ツェルニーに献呈されました。 その基になったものは、先月号でご紹介した少年時代に作られていました。当初リストは、バッハの「平均律クラヴィーア曲集」を念頭に48曲を作曲するつもりだったといわれていますが、調性は、ハ長調から始まってフラットの付くものだけになっています。 各曲はいずれも「超絶技巧」というタイトルそのままに、たとえテンポの遅い曲でさえ、演奏技巧の難しさは際立っていて、シューマンは「この曲ばかりはリスト自身の演奏でなければ、その効果は発揮できないだろう」と語ったそうです。
26年もの歳月を費やして、改訂に改訂を重ねてきたリストのただならぬ執念を感じる曲集です。
第4番 ニ短調 「マゼッパ」
2003年の発表会で演奏した「マゼッパ」は、ヴィクトル・ユーゴーの「東方詩集」に登場するコサックの英雄で、実在の人物。 極めてスケールの大きな激しい表現意欲に溢れた力作で、冒頭の主題が変奏されつつ、随所に技巧的な演奏が繰り広げられます。 曲の最後に、リストは「ついに最後の時が来た...しかし、彼は王となった」とユーゴーの語句を引用しています。