Little Players News

No.162 2011 9月

いよいよ発表会ですね。素敵なステージになりますように最後の仕上げに取り組んでください。今月は紹介コーナーをお休みして、発表会のプログラムより抜粋して曲のご紹介を致します。

子供の領分(ドビュッシー)
1906年から1908年にかけて作曲されたこの曲集は、当時3歳だったドビュッシーの愛娘のクロード・エマ(愛称シュウシュウ)のために書かれました。全6曲から成るこの作品は子供に演奏されることを意図したものではなく、大人が子供らしい気分に浸ることを目的とした作品で、シューマンの「子供の情景」に通じる精神があります。

1.グラドゥス・アド・パルナッスム博士
単調でむずかしいクレメンティのピアノ練習曲集「グラドゥス・アド・パルナッスム」をいやいや練習している子供の姿をユーモラスに描いています。最後は練習から開放される感じです。

2.象の子守歌
 少女の小さな腕には大き過ぎるフェルト製の象。その象に向かって優しく歌っているうちに、やがて自分も眠りにおちていきます。

3.人形へのセレナード
子供の遊びの途中で置きっぱなしにされた人形が凝り固まった姿勢と表情で気まぐれな子供の遊びを見つめている。ギターを思わせる伴奏に乗せて、人形をいとおしむセレナードが歌われます。

4.雪は踊っている

 顔を窓にぴったりとくっつけて雪がひっきりなしに降っているのを眺めている子供。鳥や花たちはどうしているのだろう。そして、いつになったらお日様が輝くのでしょう。雪が舞う様子を幻想的に描いています。

5.小さな羊飼い
箱から出されたばかりの新しいおもちゃの羊飼いの人形を眺めている子供。静かで幻想的な曲。

6.ゴリウォーグのケークウォーク 
 操り人形のゴリウォーグが、アメリカの黒人のダンスでるケークウォークに合わせて、陽気に踊る様子を面白く眺めている子供。中間部はワーグナーの「トリスタンテとイゾルテ」のメロディーの断片が顔を見せます。

コンソレーション(慰め)第3番(リスト)
技巧的な難曲を数多く作曲したリストですが、華麗な技巧がほとんど出ていない叙情的な小品。全6曲ですが、ショパンのノクターンを彷彿するような第3番が特に有名で人気があります。コンサートでは、しばしばアンコールで演奏されます。

愛の夢 第3番(リスト)
リストは1850年に『愛の夢(3つのノクターン)』と題して出版しました。原曲のすべてが愛を歌ったものということから、『愛の夢』というタイトルが付けられたのでしょう。第3番は、リストの全作品の中でも最も広く親しまれている曲です。
叙情的なメロディや、幅広い音域に分散する伴奏形、フレーズの合間に聞かれる音価の細かい即興的なパッセージなどが、ショパンのノクターンと共通しているから、といわれています。あるいは、 この曲を書いた前年に世を去ったショパンへのはなむけだったのかも知れません。

メフィスト・ワルツ 第1番「村の居酒屋での踊り」(リスト)
「メフィスト・ワルツ」と題されたピアノ曲が4曲あります。第1番は、1830年、リストが19歳の時にゲーテの戯曲「ファウスト」に大きな感銘を受け、後に詩人レーナウの詩「ファウスト」に興味を持ち、1860年にピアノ独奏用に作曲されました。ストーリーは、悪魔メフィストフェレスと悪魔に魂を売った男ファウスト、信仰心の厚い娘マルガレーテの恐ろしい悲劇ですが、この曲に使われているシーンは、メフィストがファウストを連れて、村の居酒屋にやってきて、ヴァイオリンで見事なワルツを弾き始めるところです。人々が浮かれて踊っている時に、ファウストは美しい娘マルガレーテを見つけて踊りに誘い、二人はやがて居酒屋から抜け出してしまいます。夜空にはナイチンゲールが甘い歌声を奏でます。前半は村人の踊りを、後半はメフィストがヴァイオリンで悪魔的技巧を表現する様子がリアルに描かれています。高度な演奏技巧を要求する曲として知られています。