Little Players News

No.170 2012 5月

新緑が見られる季節が近づいてきましたね。清々しい気持ちでピアノに向いましょう!
今年の発表会は9月16日(日)を予定しています。

今月は、オーケストラの魔術師といわれた、ラヴェル(1875~1937)についてお話したいと思います。

モーリス・ラヴェル

クロード・ドビュッシーと共にフランス印象派を代表する作曲家です。 幼い頃からピアノを学び、1889年にパリ国立音楽院へ進学したラヴェルは、作曲をガブリエル・フォーレに習いました。 在学中に「グロテスクなセレナード」、「古風なメヌエット」などのピアノ曲を作曲し、一目置かれる存在でしたが、1901年から
1905年までにローマ賞というコンクールに5回も挑戦し、ことごとく落選しました。 一度も大賞を取れなかったことに対し審査の公正さが疑われ、パリ国立音楽院院長が辞職に追い込まれる程の事態になったのは有名なエピソードです。 ラヴェルの音楽にはスペインの響きを感じる作品が多くあります。 例えば「鏡」より「道化師の朝の歌」など。 母親がスペインのバスク地方出身という事で、ラヴェル自身もスペインの国境近くに生まれた事が影響していると言われています。 ラヴェルの作風は、とにかく緻密! ストラヴィンスキーはラヴェルの事を「スイスの時計職人」と呼んだとか。 それほどまでに、ラヴェルの曲は精密で完璧なのです。 先月号でもお話しましたが、ラヴェルは他の作曲家の作品をオーケストラ・バージョンに編曲する事が得意でした。 その中で最も有名なのがムソルグスキーの「展覧会の絵」です。 それ故、ラヴェルは“オーケストラの魔術師”と呼ばれました。 そして、ラヴェルは、とってもお洒落だったという話も有名です。

ボレロ

恐らく、この曲を知らない人は居ないのではないでしょうかという位に有名な曲です。「世界一長いクレッシェンド」の異名を持つバレエ音楽。 2つしかない旋律を繰り返しながら、とにかく同じリズムが最初から最後まで延々と繰り返され、終盤に向けて勢いが増していきます。 同じ旋律を繰り返すだけというのは単純ですが、かなり大胆な発想だと思います。 この曲は、テンポも変わらなければ、調性も最後に転調する以外は一定です。 2小節からなるボレロのリズム音型は169回にわたって繰り返され、小太鼓は最初から最後まで休みなく4,064回も同じリズムを叩きます。 これは大変な作業です! コンサートで演奏されると、私は小太鼓に必ず目が行きます。