「ピアノのテクニック」とか「ハノン」のように、同じパターンで指のトレーニングをする時でも、ひたすら鍵盤を見て弾く人が居ます。「鍵盤を見ないで弾きましょう」と言うと、少しの間だけ楽譜を見ますが、すぐに心配になり、また視線は鍵盤に…
視線が楽譜から鍵盤へ、そして、また楽譜に戻った時に今度はどこを弾いているのか見失ってしまう事が多いです。これでは楽譜を置いている意味がなくなります。
「初見演奏」をする時に、鍵盤を凝視しては弾けないですよね。何故ならば、初めて弾く楽譜だから、どんな曲なのか楽譜を見ないと情報をキャッチできないから。弾く前にポジションを気をつけて、出来るだけ指を鍵盤に準備して、ゆっくり弾いてみるとか工夫して練習したいですね。
ベテランの生徒さんでも、少し楽譜に慣れてくる頃に楽譜を見ない傾向があるようです。見ていると、忙しさ倍増です。アルペジオ(分散和音)の練習なども、ひたすら16分音符で苦しい練習をするよりも、和音で押さえてみると、指が置けていないとか、間違って覚えているとかを防げると思うのですが、楽譜通りの練習しかしない傾向が強いです。(^^;
鍵盤を見ないで弾くのは、それほど難しい事ではありません。間違ったら困るからという不安からどうしても鍵盤を確認してしまうのですよね。だったら見ないで弾く練習をしている時に間違えてもヨシとしましょう。と生徒さんに言うと「えっ!?」という顔をします。みなさん、それほど間違える事が嫌なのですね~。しかし、だんだん鍵盤を見ないで弾けるようになると、読譜力がついて新しい曲でもどんどん弾けるようになりますよ。
読譜力のある生徒さんは、ソナチネ全楽章弾くのも平気なので、仕上がりが早いです。しかも丁寧な演奏に驚かされます。鍵盤の感覚に慣れて鍵盤を見ないで弾けるから、早く楽譜が読めて、正確に覚えるという事に繋がっていくからなのでしょう。
●鍵盤を見て弾く→楽譜を見ながら弾けない→何度も何度も練習しないと覚えない→仕上がりが遅い→弾ける曲が少ない
●楽譜を見て弾ける→正確に弾ける事が増える→表現しながら多彩な音を出せる→面白くなる!→弾ける曲が増える
この違いです。ピアノは弾けた方が何倍も面白いです。間違っても良いから、鍵盤の感覚に早く慣れて楽しく弾けますように!