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及川浩治ピアノ・リサイタル/ ショパンの旅

12月19日(金)7:00PM
札幌コンサートホールkitara大ホール

program

●ノクターン第1番  変ロ長調Op.9-1
●ノクターン第2番 変ホ長調Op.9-2
●ノクターン第3番 ロ長調Op.9-3
●ポロネーズ第5番 嬰ヘ短調Op.44
●幻想曲 ヘ短調Op.49
●ポロネーズ第6番「英雄」変イ長調Op.53

=======intermission

●ノクターン第14番 嬰ヘ短調Op.48-2
●舟歌 嬰ヘ長調Op.60
●ノクターン第15番 ヘ短調Op.55-1
●ポロネーズ第7番「幻想」変イ長調Op.61
●アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調Op.22

=====encore

●ノクターン遺作
●プレリュード「雨だれ」

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プログラムノートに
”今回の「ショパンの旅」は芸術家として、そしてひとりの人間としてのショパンの最も深遠な部分を感じる作品を中心に選曲しました。いわゆる「ピアノの詩人」というイメージではなく、彼の真の人間像を表現できたらと思います。ショパンの音楽の奥底にある「魂の叫び」のようなものを感じて頂けましたら幸いです。”及川浩治
と書いてありました。

最初のノクターンは意外でしたが、他はなるほどと思う選曲だと思いました。及川浩治さんは、ほとんど毎年聴いていると思うので、最近では一番聴いているピアニストかも知れません。7年前に膝を脱臼した時は足首を骨折していて、車イスで聴きましたが、ギプスはうっ血するので辛かった事を思い出しました。今回は大分ラクでした。

先日、小ホールでゲキチさんの演奏を聴いたばかりですが、プログラムが少し重なっていました。お二人とも前半の最後に「英雄」ポロネーズを持ってきていましたね。前半は、若い時のクターンOp.9の3曲の後に濃厚な3曲が演奏されましたが、ポロネーズ第5番は、とても男性的な情熱溢れる曲です。ホロヴィッツを聴いて育った私は、耳ダコになるくらいこの曲を聴きました。今回のプログラムはノクターンとポロネーズが散りばめられている点も興味深かったです。

前半も良かったですが、後半が特に素晴らしかったです。勉強中の「舟歌」ですが、冒頭の3小節からバランスが難しくて、何回弾いても苦労していますが、及川さんの演奏は見習う事ばかりでした。旋律に対して伴奏の音が繊細でありながら、説得力に満ちて、抜群のバランス。究極のピアニッシモだったりします。はじめさんも「ひとつひとつ丁寧で、流さない。絶対に妥協しない演奏だ」と絶賛していました。

本当にこの人の演奏を聴いていると「ピアノはスポーツ」だなと思います。アンドレ・ワッツと共通している部分が結構あるのだなぁと思います。全身全霊で弾く姿。ピアノに対する真摯な姿を見るだびに勇気が沸いてきますし、あぁもっと練習しなくちゃ!と思います。ゲキチさんは最初に持ってきた「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」。この曲がプログラムの最後を飾りましたが、ショパンの魂の叫びと及川浩治さんの魂の叫びが重なった演奏は炎の如し。精魂使い果たしたという演奏に割れるような拍手が送られました。

アンコールに有名な2曲を敢えて会場に言うのも及川さんらしかったです。アンコールは1曲だと思いましたが、拍手に応えて、もう1曲「雨だれ」が演奏されました。いやぁ、良いコンサートでした。今宵は「舟歌」も良かったですが、「幻想ポロネーズ」が一番良かったです。深遠な演奏でした。ブラボー!!

みかこ

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みかこ