グリーグが34年もの間、日記のように書き綴った曲集。全66曲あるが、全曲録音は少なく、舘野先生の若い時の録音をインターネットで入手した。貴重な録音だと思う。楽譜も舘野先生の解説で出版されていて、素晴らしい解説内容。大変勉強になる。
後年、パリのあるサロンでグリーグがラヴェルに会った逸話が興味深かった。
「眼を輝かした一座の人々が音楽の話に興じていたとき、
ラヴェルが静かにピアノに向かい、グリーグのノルウェー舞曲を弾きはじめた。
グリーグは微笑みをたたえて聴いていたが、しだいに我慢できないという
表情になり、いきなり立ち上がると厳しく言った。
『全然違う。そんなふうでは駄目だ。もっとリズムだ。これは民族音楽なんだ。
農民たちが家で、フィドラー(ヴァイオリン弾き)が足で拍子をとりながら
演奏しているのを囲んでいる。そのようすを想像して、さぁもう一度やってくれたまえ!』
ラヴェルが言われたようにすると、皆が驚いたことに、その小男(グルーグ)は
跳び上がって部屋をスキップしながら回った。」
舘野先生の解説では、この逸話から、グリーグにとってリズムがどれだけ大事で
あるかということと、グリーグの激しい性格をみてとれるそうな。
3枚組みの1枚20数曲を聴き、同じだけ弾いてみた。
発表会で生徒さんに弾いてもらおうと思っているのだが、
短いけれど難しい。そして、弾き応えがある。
グリーグの激しい性格と熱い想いが感じられる。
HPで何曲かご紹介した事があるが、魅力的な作品が多く、
66曲から何曲抜粋して、何人に弾いてもらうか。
大変だが楽しみでもある。