叔父の葬儀会場へ向かった時、タイムスリップしたような錯覚に陥った。幼稚園にあがる前に祖父母と大好きな叔母が住んでいた家の前を通ったのだ。何年ぶりだろう…
交差点を右に曲がった瞬間、「あっ、ここ知っている!」と叫んでしまった。4歳か5歳、いやそれより前から叔母に手を引かれて歩いていたのだと思う。
かなり風変わりな子だった私は、幼稚園にあがる前に独りでバスに乗り岩内の町へ行くのが好きだった。バス通りで目印になるものを見つけて、大きくなるまでずっと覚えておこうと思った。それは今も健在だったり、無くなっていたりするが、祖父母の在った家の通りが、ほとんど変わることなく当時のままだった事には驚いた。
小学校にあがった頃、祖父母が小樽へ引越してから、そこへは行った事がない。叔母も結婚して太美町へ行った。今はロイズの工場がある町だ。叔母が亡くなって10年経つという事にも驚く。岩内の町を初めて訪れた叔母の旦那様は、叔母が内緒で私を連れて駅へ迎えに行った事を鮮明に覚えておられるとの事で、ちょっと可笑しかった。
今週のグループレッスンではベートーヴェンの25番「かっこう」ソナタを弾くが、中学1年の時に第一楽章を発表会で弾いた懐かしい曲。以前に弾いた曲は、まだ指が覚えていて当時の癖が残っていたりするので、それを直すのが難しい。コンパクトなので3楽章まで全部弾くが、易しい曲でもきちんと演奏するのは大変。
発表会のコーラスでは「山のいぶき」という、これも中学2年の時にクラスで選んで苦労した曲を選んだ。私は伴奏者だったので皆と一緒にステージで歌った事は一度もない。8分の6拍子を指揮者なしで歌うという事は苦労するだろうと思うが、普段のソルフェージュのレッスンを生かして、ピアノ伴奏に各自のパートを弾けるようにレッスンしていきたいと思う。