及川浩治ピアノ・リサイタル/デビュー20周年記念

2015年11月20日(金)7:00PM
札幌コンサートホールKitara大ホール

F.リスト
ダンテを読んで~ソナタ風幻想曲 S.161-7

●コンソレーション(慰め)第3番 S.172-3

●ラ・カンパネラ S.141-3(ブゾーニ編)

R.ワーグナー/F.リスト
イゾルデの愛の死 S.447

———–  intermission————–

F.ショパン
ノクターン第10番 Op.32-2
●ノクターン第16番 Op.55-2


S.ラフマニノフ
ピアノソナタ第2番 Op.36
Ⅰアレグロ・アジタート
Ⅱノン・アレグロ ー レント
Ⅲアレグロ・モルト

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及川浩治さんのリサイタルは毎年聴いていますが、今年でデビュー20周年なのですね。おめでとうございます!アニバーサリーのためのスペシャル・プログラムということで、いつにも増して素晴らしいコンサートでした。

リストの「ダンテを読んで」から。重々しい和音、凄まじい同音連打は、ダンテが「地獄編」で描いた凄惨な情景や、魂の苦痛、浄罪、救済が音楽で表現されているとプログラムノートに書いてある通り。リストが好きな私ですが、この曲に近寄れない部分でもあります。でも、いつかは演奏したいと思っています。美しいコンソレーションの後にブゾーニ編のラ・カンパネラがとても面白かったです。前半の最後は、及川さんの演奏会でも何度か聴いている「イゾルデの愛の死」。リストの膨大な編曲(トランクスリプションやパラフレーズ)の中の一つです。とてもドラマティックなワーグナーの作品を今宵も堪能させてもらいました。

後半はショパンの2つのノクターンから。会場の空気がガラリと変わるのを感じます。第10番をコンサートで聴くのは初めてかも知れません。プログラムを見て第10番ってどんな曲だったかなぁと心の中で歌ってみましたが、合っていました。(笑)深い森に迷い込んだ詩人を妖精たちが幻想の世界へ誘う曲なのだとか。へぇなるほど~と思いながら聴いていました。第16番は及川さんの大好きなノクターンという事で、演奏会でも時々聴かせて頂いています。私の中では小さな「舟歌」のような感じの作品で、演奏するのは大変難しいです。さて、プログラムを締めくくるのはロシアの巨人ラフマニノフのピアノソナタ第2番。何度か聴いていますが、及川さんにとって相当想い入れの強い作品だと感じます。今回は1913年の初稿版と1931年の改訂版を検討した上での及川さん独自に再構築したという「及川バーション」で演奏されました。もう、のっけから最後まで気迫がみなぎり、全身全霊で演奏する姿に釘付けでした。最後は立ち上がってフィニッシュ!熱演のあまり椅子が斜めにずれましたが、お辞儀の後で律儀に元の位置に戻す仕草が可笑しかったです。それにしても、汗でびっしょりだったと思います。だからアンコールは1曲かも知れないと思っていましたが、元気良くステージに登場してショパンのノクターン第14番をしっとりと。そして、ノクターン遺作がとんでもなく美しい音で演奏されました。あぁこれで最後になるだと会場のみなさんもきっと思ったに違いありません。ところが!3曲目にスクリャービンの有名なエチュード「悲愴」が、またとてつもなく凄まじい迫力で演奏されました。いくらなんでもこれで最後になると思いきや、なんと最後にラフマニノフの「鐘」を持ってくるとは粋でしたね~。流石でした!20周年にふさわしいドラマティックな演奏会で心もホットになりました。及川さんの大ファンである はじめさんもはとても興奮していました。素敵な演奏をありがとうございました。(^-^)

札幌はイルミネーションの初日でした。演奏会の後にこちらも見ることが出来て嬉しかったです。

みかこ