オーケストラの魔術師/モーリス・ラヴェル

ラヴェルというと「オーケストラの魔術師」と言われるほど、卓越したオーケストレーションの技法を示した作品は多い。例えば、ムソルグスキーの「展覧の絵」。原曲はピアノ曲ですが、ラヴェルはオーケストラ版に編曲して一躍この作品を有名にしました。しかし、無名のまま貧乏なまま亡くなったムソルグスキーは、本当に気の毒でした。今では数えきれないほど演奏会で聴いてます。

ラヴェルの「鏡」より、「道化師の朝の歌」と「洋上の小舟」の2曲がオーケストラ版に編曲されています。「鏡」は全5曲ですが、コンサートで聴いた事がほとんどありません。単独でも、昨年の秋にオーケストラ版の「道化師の朝の歌」を聴いたのが初めてです。ピアノ演奏のCDでは日本人では小山実稚恵さんのだけ持っています。高速同音連打やダブルグリッサンドはピアノに左右されるので本番を避けたい曲なのでしょうか…。

今日はだいぶ古い音源ですが、小澤征爾さんのラヴェルを聴いてみました。「道化師の朝の歌」はピアノ演奏だと6分半くらいだと思いますが、オケは1分程長いです。この部分はこの楽器が担当するのかと、とても勉強になります。これを10本の指で演奏しなければならない。逆に10本の指で演奏出来てしまうピアノという楽器は本当に偉大だなぁと感心します。

有名な「亡き王女のパヴァーヌ」もピアノが原曲です。大好きな曲ですが、綺麗に演奏するのは、なかなか難しいですね。オーケストラ版を聴くと、一層しみじみと美しくて涙が出そうでした。今年はラヴェルに浸かりたいです。

Amazonのはジャケットが違うようですが、内容は同じでした。

1974年 ボストン交響楽団 指揮:小澤征爾

みかこ