ここのところ仕事に忙殺されているはじめさんだが、昨日の夕方のこと。
レッスン休みでピアノに向かっていると、突然レッスン室に現れ「今なら行けるかも?」と言う。
とあるお店に行きたかったのだ。出かける準備をしていると仕事の電話がかかってきた。
やっぱり無理なのかなと思っていたら、「いや、行ける」と言う。
そうしてやってきた、とあるお店は午後5時前だったが、まだ明かりが付いていた。
ホッとしてお店に入る。今回は、今まで買わなかった「へら蟹の燻製」に目が行った。
小さいへら蟹が2ハイあったので「これください」と言ったら
「クーラーボックス持ってきましたか?」と聞かれ、ちょっとびっくり!
「いやぁ、すぐそこですから」と言ったのだが、「札幌から来た人も、よく言うんだよねぇ」
と、なんだか感じが悪く、ただならぬ雰囲気になってきた。
たかが「へら蟹」(と言っては何ですが、私にとってはそうなので)でしょ。
毛蟹でもタラバ蟹でもない、ましてやズワイでも花咲きでもない。「へら蟹」なんだもの!
隣町の古平町では1,000円もあればスーパーの袋にいっぱい詰まった
「へら蟹」を購入できた。夏日の事である。それが何故!?
しかも、お店には常温で置いてあるのだ。それが何故!?
「燻製のへら蟹」がどんなものか食べてみたかったというだけのことなのだ。
しかし、店主にはどうしても欲しいと映ったのか「おとり置きしておきますから
クーラーボックスを取りに行っては?」と言うではありませんか。
もう、ただ呆れるばかりで、はじめさんと苦笑い。
「そうまでして欲しいわけじゃないので。だって、ね。へら蟹でしょう?」
この時点で地元の人間だと分かったみたいだが、はじめさんが
「黒川町まで車で数分だけれど、何か問題があるのですか?」と聞いたら
「燻製の風味がなくなり、茹で蟹よりも美味しくなる。まぁ、簡単に作れますから
ご自分で作ってみたら?これは隣の人が来てもクーラーバックが無いと売らない
決まりになっていますので」という。
ポリシーとか拘りの頑固オヤジとかのお店は、なるほどと頷くものがあるけれど、そうではないように思う。どうやら地元の人間にではなく、観光客に食べてもらいたいようだ。
これ以上「へら蟹」で時間を潰したくないので出てきた。
それにしても元旦以来のアルデオ君に乗って束の間のドライブが何にも悪い事をしていないのに
気分が悪くなった。アルデオ君も気分を害したのか、走行中に後ろのワイパーが止まってしまった。もう来る事はないだろうと残念に思った。
はじめさんは、もともと「へら蟹」は嫌いなので尚更だけれど、どんなものか夏になったらスモークした「へら蟹」を作ってもらおうと思う。
何しろ簡単に作れるらしいので。

みかこ