継続は力なり/電卓母娘

 

子供の頃、家の商売の経理担当の母はいつも「そろばん」を愛用して計算してました。私もそろばんが出来る人になりたいと思い、小学生の時、珠算教室に通ったのです。意外にも、そろばんを使わない「暗算」が得意でした。珠算検定は2級まで取得しましたが、確か3分くらいで15問ある問題を2周するくらい余裕があったので、暗算はほぼ満点だったと思います。

この特技!?を生かして、母がパンの移動販売をしていた初めの頃、少しだけ手伝った事があります。それはお客さんが買ってくれたパンの金額の計算。暗算でした!念のため2回ずつ計算しました。母も暗算が得意だったので2重にチェックしていました。電卓は使わず、恐らく電卓より速く正確だったと思います。その速さと正確さに、お客さんに「電卓母娘」と呼ばれていました。(笑)

母はパン屋さんの売上を帰宅してから、そろばんで計算していました。そろばんを弾く音がドア越しに聞こえて心地良かったです。母は電卓を全く使いませんでした。珠算教室を辞めてから私はそろばんをほとんど手にしなくなりました。ピアノ教室を開いてから電卓を使うようになりましたが、どんどん暗算が遅く不正確になっていくのに驚愕しました…!

ピアノも10代が1番飛躍できる年齡だと思います。その時期にしか取得できない技術があると思います。そういう貴重な時期に全く練習しないのは、本当に勿体ないと思います。大学で音楽を専攻したのに、卒業後ほとんど練習しないで教室に来ていた生徒さんが居ましたが、私の「暗算」と同じで、いつまでその能力が生きているわけではありません。使わなくなったら(練習しなくなったら)、あっという間に「ただの人」になるということを、暫くの間、本人は気づかなかったようです。それでもプライドが高くて、難しい曲ばかり弾きたがっていました。しかし、「月光」の第1楽章もランゲの「花の歌」も仕上げる事が出来ないような状態にまでなったのです…。

珠算検定2級を取っても、今は出来ないだろうなぁと思います。何でも続けて練習しないと「ただの人」になるのは早いですよ。

今日は気合の入った生徒さんが3人続き、楽しいレッスンが出来ました。高3になるYちゃんにとってレッスンを受けられる時間が限られてきているので、1回1回真剣なのだろうなぁと思います。これからは興味を持って色々な曲を知って欲しいですね。Yちゃんから、こんな曲を弾いてみたいという台詞が聞けたら嬉しいです。

みかこ