話題のピアニスト/反田恭平ピアノ・リサイタル

8月3日(木)
札幌コンサートホールKitara大ホール

program

●武満 徹:遮られない休息
Ⅰ「ゆっくりと、悲しく語りかけるように」
Ⅱ「静かに残酷な響きで」
Ⅲ「愛の歌」

●F.シューベルト:4つの即興曲 D899/Op.90
第1曲 Allegro molt moderato
第2曲 Allegro
第3曲 Andante
第4曲 Allegretto

Intermission

●M.ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ

●F.リスト:ピアノ・ソナタロ短調S.178

Encore

●F.ショパン:練習曲Op.10-1

●C.ドビュッシー:月の光

●R.シューマン=F.リスト:献呈

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チケットが即完売になってしまう話題の若手ピアニスト反田恭平さんのピアノ・リサイタルを初めて聴きました。チケット発売日には、どんどん席が埋まって諦めかけたのですが、何にも遮られない見通しの良い席でした。それにしても大ホールが完売になる程ですから、凄い人でした!

programを渡されましたが、本日と明日の函館のが載っていました。これを弾くのですか!という内容のprogramで驚きました。そして、パンフレットが別売り(2,000円)というのも邦人のコンサートに出掛けて初めての事だったので驚きました。買いませんでしたが、写真集のようなものなのでしょうか?CD売り場も人の山!演奏会終了後は大サイン会になるのでしょう。いやはや大変な人気です。

颯爽とステージに登場するのかと思いきや、抱いているイメージとちょっと違っていました。そして、ほとんど笑いません…。(^^; 最初は武満徹さんの「遮られない休息」から。瀧口修造さんの詩に触発され書かれた作品。舘野 泉氏の演奏による「ピアノ・ディスタンス」の最初に収録されていました。何度か聴いてるのに、何回聴いても新鮮に感じます。武満徹さんの曲だからスコアを置いているのかと思いましたが、シューベルトの4曲も自身で譜めくりされながら演奏されるスタイルは、ちょっと意外でした。楽譜を置くのは何か意図があったのだと思いますが、譜めくりしながらだと、どうても演奏に細やかな影響が出るように感じてしまいました。音の幅が凄くあり、多彩な表現で良い演奏なのに、入り込めなかったのが残念。

後半のラヴェルも同じスタイルで演奏されました。まさか、ロ短調ソナタもなのかしらと心配でしたが、流石にここからは譜面台も外されました。ここからEncoreまでの演奏が、やはり良かったです。私の個人的な感想として、譜めくりしながらの演奏は、ちょっと勿体なかったと思いました。

ここのところ、リストのロ短調ソナタを聴くリサイタルに恵まれています。30分の音楽の旅のような超大作。悪魔と天使が交互に姿を現し、破壊的な音、美しく官能的な音のコントラストが素敵に演奏されていました。この後に3曲のEncoreがあり、大興奮の会場。「月の光」は、かなりゆったりなテンポで、とても繊細な音が紡ぎ出されていました。こういう演奏がまた反田恭平さんの魅力なのだろうと思います。

みかこ