伸び悩んでいる男の子のレッスン対策。
「練習はしている」と言うのだけれど、楽譜を正しく読まないうちに読めないまま弾いていしまう。本人は何回も弾けば、やがてはできると思い、やみくもに読めないまま、つっかえても弾けなくても、とにかく弾くという行為で「今日も練習した」と自己満足しているようなのだ。しかし、それで良いのだろうか?いかに時間の無駄を繰り返しているのか分かってもらえるように、ピアノの蓋を閉め楽譜を読む事を徹底した。途中、彼は何度もピアノの蓋を開けようとした。「弾くのは、読めてからね」。まず、手拍子に合わせてメロディーを歌う。「あれ、あれっ・・・」出来ない。ん、これでは弾けるわけがない。では、1拍、あるいは2拍ずつに区切って、出来たら次へ進もうと言うと、ようやく小節単位で出来るようになってきた。今度は「拍子弾き」。4分の4拍子なら左手で4回叩き、右手のメロディーを打つという練習。これはソルフェージュのレッスンでやっている事なのに、いかにピアノの練習では置き換えられていないのかと嘆く事が多い。恐らくはレッスンでやっている事を家ではやらないのだと思う。「ピアノを弾く行為」が練習だと思っている人がほとんどだから。しかし、ピアノは音符が読めないと弾けない楽器なのだ。そして、弾けない事は、楽しくない事に繋がるのだ。「拍子弾き」が出来たら、「はい、じゃあ今度は弾いてみようか」と言って、30分経過していたが、ようやくピアノの蓋を開けた。最初に弾いた時は全然弾けなかったのに、うそのように弾けるではないか。本人もキツネにつままれたような顔をしていた。「練習って、簡単な方法を重ねていった方が効率が良い」と、レッスンでは口をすっぱくして言って実際に示しても、家ではなかなかそれを実行しないのは何故なのだろか。ピアノの音がしないと家族に練習していないと思われるから?ピアノの蓋でリズムを叩くのは練習だと思われないから?ピアノを弾かないと「今日は練習しなかったの?」と言われるから?今日のレッスンでは、もしかするとピアノを弾かせてもらえないのではと彼は思ったのかも知れません。30分経過して、楽譜が読めてからのピアノは、適当に弾くより、正しく、しかもスムーズだったというのは、小学生のお子さんでも納得してくれた事と思います。