及川浩治ピアノ・リサイタル

ベートーヴェン生誕250年・及川浩治デビュー25周年記念

2020年1月26日(日)1:00pm開演
札幌コンサートホールKitara 大ホール

program

〈オール・ベートーヴェン・プログラム〉

ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 Op.13 「悲愴」

第1楽章:グラーヴェ-アレグロ・ディ・モルト・エ・コン・ブリオ
第2楽章:アダージョ・カンタービレ
第3楽章:ロンド、アレグロ

ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 Op.27-2「月光」

第1楽章:アダージョ・ソステヌート
第2楽章:アレグレット、トリオ
第3楽章:プレスト・アジタート

ピアノ・ソナタ第21番 ハ長調 Op.53「ワルトシュタイン」

第1楽章:アレグロ・コン・ブリオ
第2楽章:序奏、アダージョ・モルト
第3楽章:ロンド、アレグレット・モデラート

intermission

エリーゼのために イ短調Wo0.59

ピアノ・ソナタ第17番 ニ短調 Op.31-2「テンペスト」

第1楽章:ラルゴ-アレグロ
第2楽章:アダージョ
第3楽章:アレグレット

ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 Op.57「熱情」

第1楽章:アレグロ・アッサイ
第2楽章:アンダンテ・コン・モート
第3楽章:アレグロ・マ・ノン・トロッポ-プレスト

encore

ショパン:ノクターン第20番「遺作」

リスト/ ブゾーニ編曲:ラ・カンパネラ

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お天気の良い日曜日の午後1時からのピアノ・リサイタルって、なんだか優雅に気分になります。キタラに到着するとロビーは人で溢れかえっていました。指定席なので慌てずに最後尾に並びます。

今年はベートーヴェン生誕250年ということですが、一番最初に及川浩治さんのオール・ベートーヴェンを聴けるのはラッキーです。それにしても、プログラムの前半にソナタが3つあります。はじめさんに何分くらいかかるの?と聞かれ、60分はかかると思いました。

颯爽とステージに登場した及川さん。「悲愴」からスタートです。重厚な音で第1楽章が終わると、かなりのお客さんから拍手が入りました。及川さんは想定していたかのように客席をチラッとみて軽くお辞儀していました。「悲愴」が終わり、立ち上がって袖に向かいかけて及川さんは「あぁそうだった」と、すぐにピアノに戻り演奏。

続けて演奏されるようです。お客さんも理解して、ここからはスムーズに及川ワールドを堪能しました。「ワルトシュタイン」の第3楽章が実に美しかったです。第1楽章は好きですが、今まで第3楽章にあまり魅力を感じていなかったのに、今日の及川さんの演奏を聴いて素敵だなぁ、早く弾きたい!と思いました。

後半は「エリーゼのために」から。全音のピアノピースだと「ミドシラ」の箇所が、ヘンレ版では全て「レドシラ」です。だいぶ以前にTV放送されたオピッツ先生のレッスンでもこの版でした。

エキサイティング・ピアノ

さて、「テンペスト」です。緊迫感があって大好きな曲です。ここでも第2楽章が良い効果を発揮してアルペジオが美しい第3楽章へ。

ラストはスタミナ勝負の「熱情」。これまで及川さんの演奏でも何度も聴かせていただいていますが、ますます磨きがかかって圧巻でした!火山が爆発するようなエンディングで、立ち上がってフィニュッシュ。及川さんの気迫漲る全力投球の演奏に会場は興奮の坩堝と化しました。ここまで魅せてくれる演奏家はいないです!!

こんな凄い演奏を立て続けにやってのけて、すぐに会場に登場する及川さん。元気です。タフです。興奮するお客さんを制して「ずっとベートーヴェンばっかり弾いたから違う作曲家を弾きます」と言って笑わせてくれます。

アンコールはショパンのノクターン遺作でしっとりと美しく、「良い演奏会だったねぇ」と終わるのか思いきや、すぐに2曲目のアンコールに登場され、さり気なく「ラ・カンパネラ」と。えーっ!しかも演奏効果が高いブゾーニ版ですから、またまた会場は興奮の坩堝と化したのでした。

心からブラボー!

これだけスタミナの要る演奏会、とてつもない集中力。いやぁ今回も物凄い演奏会でした。真摯にピアノに向き合うピアニスト及川さんの素晴らしい演奏の数々に心からブラボーと言いたいです。ありがとうございました。

みかこ

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