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スランプ状態のベートーヴェン/ ピアノソナタ第27番

ベートーヴェンは深刻なスランプ状態に陥っていたという。想像力を失い、聴力の喪失と体力の衰え、経済的打撃、結婚の失敗….そんな事が重なったら、気力も無くなり途方に暮れてしまうと思う。


26番の「告別」ソナタから4年経って書かれた27番は2楽章構成で小規模ながら、叙情的で好みの作品。緊張に包まれあっという間に終わってしまう第1楽章、そして第2楽章は、いつまでも弾いていたいと思う優しく美しい調べ。これはシューベルト!?と思っていたら、まさにシューベルトに影響を与えた曲だという。そして、「いつまでも弾いていたい」という欲求に応えてくれるかのように長いのが嬉しい。転調のオンパレードだし、歌に満ち溢れていて良いなぁ。

 

第1楽章 Mit Lebhaftigkeit und durchaus mit Empfindung und ausdruck
(速く、そして終始感情と表情をともなって)
第2楽章 Nicht zu geschwind und sehr singbar vorgetragen
(速すぎないように、そして十分に歌うように奏すること)

シンドラーによれば、ベートーヴェンは第1楽章に「頭と心臓との闘い」、第2楽章に「恋人との対話」と書くべきものだと語ったという事ですが、なるほどと思いました。後期作品へと繋ぐ重要な作品。大切に勉強したい。

みかこ