勉強中の27番は後期の作品に入るのかどうか微妙なところだと思うが、だいぶ前に買ったまま聴かずにいたブレンデルの2枚組みのCDが最近はお気に入り。27番は、第1楽章、第2楽章共にリピートが無く、ベートーヴェンのピアノ・ソナタでは珍しい。
リピートを入れて全楽章弾くと膨大な長さになるので、私はあまりリピートは好まない。しかし、作品によっては省けない重要なリピートもあると思う。例えば「熱情」第3楽章のリピートなどなど。
話がそれてしまったけれど、27番は不思議な魅力があって毎日弾いても飽きないどころか、毎日弾きたくなる作品。ケンプ、バレンボイム、グルダ、ブレンデルの演奏を聴いたけれど、ブレンデルの解釈が私は好き。次は2年後に書かれた28番を勉強しようと思っているが、第1楽章の繊細な響きがなんとも言えず美しい。後期の作品では30番が一番好き。でも、28番の後にそのまま後期の作品を勉強するべきかどうか迷う。特に最後の30,31,32番はじっくり腰を据えて取り組まなければ。
ブレンデルのリサイタルは2回聴いている。若い時に聴いた1回目は、ちょっと神経質そうで気難しい感じがして敬遠していたのだけれど、それから10年以上経って、はじめさんと横浜のみなとみらいでのコンサートに出かけた時は、深い感銘を受けた。記録を見ると2001年11月2日「70歳記念ピアノリサイタル」なので、もう10年前の事なのだ。コンサートノートには「ステージでの緊張感も感じさせない、ひたすら安らぎの空間となってしまいました。目を凝らして演奏を見るとかペダルをどう踏んでいるとか、そういう事はどうでも良くなって、ただこの音楽に浸っていたいと感じさせる演奏です。それほど自然な空気のような音、呼吸しているような演奏なのです。驚きました!」と書いてあった。後期6大ピアノ・ソナタを聴いていると、みなとみらいホールでのあの時の演奏を思い出す。
ベートーヴェン後期6大ピアノ・ソナタ