昨年ポーランドで行われた第18回ショパン国際ピアノコンクールで第4位となった小林愛実さんのピアノ・リサイタルに出掛けました。
目次
2022年6月11日(土)
札幌コンサートホールKitara大ホール
ピアノ:小林愛実
●R.シューマン:アラベスク Op.18
●F.シューベルト:ピアノ・ソナタ第19番 ハ短調 D958
intermission
●F.ショパン:24の前奏曲 Op.28
●ショパン:ノクターン第14番 嬰へ短調 作品48-2
●ショパン:ワルツ第5番 変イ長調 作品42
●ショパン:幻想即興曲 嬰ハ短調 作品66
実をいうと、私はあまりコンクールが好きというわけではないので、前回のショパンコンクールで優勝したチョ・ソンジンさんのことくらいしか興味がありませんでした。だから、小林愛実さんがファイナルに残って演奏したのだと知り、聴き逃したことを後悔しました。
クラシック倶楽部での放送で、大人になった小林愛実さんのショパンの演奏が取り上げられました。一時はピアノから離れたいと思ったことなど、様々な苦悩があったことを知り興味深く聴きました。
小林愛実さんの生演奏を聴くのは、今日が初めてでしたので、とても楽しみにしていました。それにしても、チケットが完売で当日券はありませんの張り紙に驚きました。
プログラムの最初に演奏される曲がシューマンの「アラベスク」だと知ってから、久しぶりにこの作品を勉強しました。シューマンは他の誰よりもファンタジーに富んだ作曲家だと思いますが、この日の小林さんの演奏を聴いて、何処までも飛んで行けそうだなと感じるほど軽やかで、繊細な響きに最初から感動しました。
シューベルトのピアノソナタというと、尊敬する舘野 泉氏が愛奏していたことを思い出します。
小林さんは女性の中でも小柄だと思いますが、「まるで1人オーケストラ」だと、はじめさんは驚いていました。
クラシック倶楽部で聴いた「24のプレリュード」の演奏に衝撃を受けて、ずっと録画を残してあります。次にショパンコンクールの3次演奏での演奏、そして、本日のリサイタルでと3回聴きましたが、進化し続けていることに感銘を受けます。
24全ての調が演奏されるこの作品は、1曲1曲は短い作品ですが、24のストーリーがあるのでドラマティックで私はとても好きな作品です。ショパンコンクールで24のドラマを熱演された小林愛実さんの存在が際立っていました。最後の音を鐘を鳴らすように弾く彼女の姿が焼き付いています。
24のプレリュードが終わると会場は割れんばかりの拍手に包まれました。何しろ満席に近い聴衆がいるわけですから。
アンコールの最初の曲はショパンのノクターン14番。つい最近13番を弾きましたが、同じ作品48の2曲目。ショパンらしい哀愁が漂う旋律が日本人は大好きですよね。私もそうです。
もしかすると、アンコールは1曲だけかもと思いましたが、2曲目は5番のワルツ。この演奏はTV放送でのアンコールで聴きました。あまりに軽々と、そしてチャーミングな演奏にオケの方たちも「凄い!」という表情で聴いている姿が印象的でした。それを生演奏で聴けたのでラッキーです。はじめさんも大喜びでした。
拍手が鳴りやまず3曲目は「幻想即興曲」。不思議に思うのですが、アンコールの前は、遠慮しない咳があちらこちらであったのに、アンコールになると咳が出なくなるようです。
全身全霊で弾く真剣勝負のピアニストに対して、聴衆もそれに真摯に向き合って、演奏前に水分を補給したり、のど飴は噛まないでゆっくり喉を潤しながらなど、咳対策をしたいものです。
ショパンコンクールのファイナルでのドレスがとてもお似合いで、演奏に相まって素敵でした。
素晴らしい演奏会を聴けて幸せな時間を過ごしました。