「サー」とは、イギリスの勲章制度における栄誉称号のひとつなのですね。 日本語では「勲功爵」もしくは「騎士爵・士爵」にあたるそうです。今月29日に行われるピアニストのアンドラーシュ・シフも「サー」が付いています。ということで、10月は2人の「サー」の演奏会を聴ける機会に恵まれました。
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久しぶりの午後7時かのコンサートです。いつもは開演時間は30分前の18:30ですが、この日は混雑ぶりを考えて18:15の開場でした。
2020年の中止から本日の開催となったのですね。高額なチケット代にも関わらず、全席完売というのは流石です。
パティオは、ちょっと肌寒かったですが、コンサート前に少し寛げました。
コロナ前は飲み物が軽食が提供されていましたが、今はストップしています。
いよいよ開場。ワクワクします。ロビーは人でいっぱいでした。全席完売はピアニストの小林愛実さん以来。当日券はありませんでした。
2022年10月3日(月)19:00開演
札幌コンサートホール kitara 大ホール
指揮:サー・サイモン・ラトル
管弦楽:ロンドン交響楽団
program
intermission
Ⅰ.Allegro moderato(アレグロ・モデラート)
Ⅱ.Adagio(アダージョ)
Ⅲ.Scherzo:Sehr schnell-Trioスケルツォ:ゼア:シュネル(とても速く)
Ⅳ.Finale:Bewegt,doch nicht schnell フィナーレ:ベヴァークト、ドッホ・ニヒト・シュネル(運動的に、あまり速くなく)
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SS席は26,000円から始まってD席は9,000円のところ、キタラクラブ会員料金の8,500円の席は、Pブロックでマエストロと対面する席でした。
少し高い場所だったので、全体の席が良く見えました。流石に全席完売とあって、席にはマスクを付けて人がギッシリ座っていました。
シベリウスもブルックナーも「自然」が根底にあるといいます。フィンランドには若き日に訪れ、シベリウスの山荘や現地でシベリウスの音楽をたくさん聴く機会に恵まれました。
交響詩「太陽の女神」は初めて聴く曲でしたが、幻想的で透明感のある音に包まれました。美しいピアニッシモに、まず驚かされました。
「タピオラ」はフィンランドの大抒情詩「カレワラ」に出てくる森の神タピオとその森。ほの暗い音色で奏でる弱音部の美しさが印象的でした。
派手さはない短い作品が2曲並べられましたが、色彩が豊かで流石はサイモン・ラトルとロンドン交響楽団。前半が終わっても拍手が鳴りやまない状態でした。
後半のブルックナーは約60分の演奏ということで、10分の休憩中にトイレに長蛇の列に私は諦めました。
開演前に本日販売のCDにブルックナーの曲が多かったので、ラトルが得意としている作曲家なのだとわかります。CDよりも映像(ブルーレイ)が欲かったので、演奏会が終わってから購入しようと思いました。
長大な作品ですが、一音も聴き逃すまいとしている聴衆が素晴らしかったです。楽章間ではマエストロはハンカチを汗をぬぐい、聴衆は咳払いをしたり、呼吸を整えて、次の楽章に備えるといった雰囲気でした。
それにしての、どの楽章の最後もピタッと決まり、素晴らしい余韻が残りました。個人的には躍動感に溢れる第3楽章が面白かったです。
そして、この長大な作品の中で、シンバルの出番はたった1回だけなのです。これには驚きました。他の楽器は忙しく演奏していましたが、60分でたった1回だけの出番のシンバル奏者。もう少し出番を作ってあげても良かったのではと思いましたが、この1回だけの出番がかえって目立っていたように思います。
長い旅も終わそうな4楽章の最後の方でフライングがあり、聴衆が終わったと思って拍手してしまったのです。もう少し状況をみて欲しかったです。だから本当に最後の音が終わったとき、余韻を感じながら、会場は拍手するのがちょっと怖かった。でも、ラトルさんが「はい終わりましたよ」みたいな仕草をしてくれて、割れんばかりの拍手が続き、いつまで、今度もいつまでも鳴りやみませんでした。
午後9時を超えて、楽団の方たちも精魂尽き抱き合っていました。しかし、最後にラトル氏だけがひとりでステージに戻ってきてくれました。とてもサービス精神が旺盛な方で、優しい方なのだと思いました。
超一流指揮者による芸術性の高い演奏は、チケット代が高くてもやはり聴いておくべきものだと思いました。ロンドン交響楽団の奏者の方たちも素晴らしかったです。