「世界のUchida」と称されるほど、日本が誇る世界最高峰のピアニストである内田光子さんの演奏を実は今回初めて聴くことができました。
2023年10月29日(日)15:00開演
札幌コンサートホール kitara 大ホール
ピアノ&指揮:内田光子
管弦楽:マーラー・チェンバー・オーケストラ
目次
第1楽章:Allegro maestoso
第2楽章:Andante
第3楽章:Allegretto
何ヶ月も前に取ったチケットだったので、まさかこのような術後の状況で聴くことになろうとは思っていませんでした。チケット代が高いのと、パイプオルガン側にあるPブロックは指揮者の表情がよく見え、オーケストラを楽しめるので我々にとっては一石二鳥である。
車椅子で2階席まで行き、席のギリギリまで行き、そこから階段を登るとすぐの席。弾き振りなのでピアノの蓋が外され、音が物凄く良かった。内田光子氏の演奏は一音一音大切に音を生み出しているように感じた。兎にも角にも、このように音を計算しつくして美しく生み出すピアニストは滅多にいない。稀有の音楽家なのだと思い知らされた。
ピアノ協奏曲が終わると、ステージがガラリと変わった。一体どういった並び方なのだろうと不思議に思ったが、奏者が並ぶと納得した。この作品は管弦楽が10人、弦楽器が5人の独奏という斬新な編成で書かれている。シェーンベルク特有の調性を曖昧にした作品だ。
それにしても、てっきり内田光子さんが指揮をするのかと思いきや、いきなり15人の奏者で演奏が始まって驚きました。
intermission
第1楽章:Allegro
第2楽章:Largetto
第3楽章:Allegro
内田光子さんとチェンバー・オーケストラは7年近く緊密な関係が深められているそうです。このピアノ協奏曲は、モーツァルトの円熟と書法の充実が流麗な旋律の美しさを備えた名曲です。しかも親しみのある旋律で躍動感があり、聴いていて楽しかったです。
内田光子さんの表情や指揮がよく見え、とても良かったです。そして、団員の方々が内田光子さんがピアノを弾く音にとても感銘を受けて聴いておられるのがよく分かりました。
encore
拍手が鳴りやまず、何度もステージに登場する内田光子さん。黒のパンツにエメラルドグリーンの軽やかな羽織で軽やかに颯爽とステージに現れる姿が素敵でした。
3度目にステージに登場されたとき、静かにピアノに向かわれアンコールが演奏されました。なんだかとても懐かしく、よく知っている曲でした。後でピアノソナタ第10番の第2楽章であることを知りましたが、この作品が大好きで中学生のとき、よく弾いていました。そして全楽章レッスンを受けたこともあり、次の音が頭の中で鳴っていました。一音一音を慈しんで音を紡ぎ出していく内田光子さんの演奏が本当に素晴らしかった。恐ろしいくらい音がキラキラとして綺麗でした。演奏が終わると、楽団の方々がハグをしている姿がとても印象的でした。