2012年10月14日(日)
札幌コンサートホールkitara大ホール
プログラム
J.S.バッハ
われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよBWV639(ブゾーニ編)
主よ、人の望みの喜びよBWV147(ヘス編)
シャコンヌBWV1004(ブゾーニ編)
ベートーヴェン
ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調「熱情」op.57
—————休憩———————
ドビュッシー
月の光「ベルガマスク組曲」より
月光の降り注ぐテラス「前奏曲第2集」より
金色の魚「映像第2集」より
花火「前奏曲第2集」より
ショパン
ピアノ・ソナタ第3番ロ短調op.58
【アンコール】
ショパン:ノクターン遺作
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穏やかな日曜の午後の優雅な時間でした。
駆け足でステージに登場する及川浩治さん。今日も元気です!
厳かにバッハ から始まりました。厳かなピアノの音に混じって、隣の席から荒い鼻息が聞こえてきて周りの人も気になっているようでした。 2曲目の「主よ、人の望みの喜びよ」BWV147(ヘス編)は有名な曲ですよね。私もヘス編の楽譜で演奏した事がありますが、暖かくて心が洗われるような名曲だと思います。そして、ゴージャスな 「シャコンヌ」で、鼻息はイビキに変わりました。心地良いのは分かりますが、きっと及川さんにも聞こえていたのかも知れません。ベートーヴェンに入る前に椅子を後ろに引いて、目を覚まして下さいと言わんばかりに音を出していましたから。その瞬間は目を覚ましたようで効果ありだと思いました。まぁ椅子を後ろに引いたのは演奏上の都合だと思いますが。
前半の最後は「熱情」です。全32曲のソナタの中で1番好きな曲です。第1楽章には交響曲第5番「運命」のリズムが現れます。劇的で緊迫感のある第1,第3楽章。第2楽章は穏やかな歌で満ち溢れ、切れ目なく第3楽章へと進みます。圧巻はコーダ。火山の如く激しい演奏で、ダダダダーン、ダーンの箇所では髪が逆立っていました。そして、気迫漲って最後は弾き終わると同時に立ち上がりました!なんと熱い演奏でしょう。この演奏で、休憩時にはCDコーナーにお客さんが群がっていました。流石です。
後半は、ドビュッシーから。及川さんのドビュッシーは珍しいですが、これがドビュッシー好きのはじめさんに大受けの演奏した。「もうドビュッシーを 超えている!」と言っていました。「金色の魚」と「花火」は、大好きでいつか演奏したいと思っています。プログラムの最後はショパンのピアノ・ソナタ第3番。んー、なんて優雅な調べでしょう。ショパンならではの洗練された豊かな世界に包まれました。 しかし、前の席の方までイビキをかいたり、せっかくの熱演なのにガクッときます。年配の方も多かったので、大曲についていくのは大変なのかも知れませんが、演奏者にも周りにも失礼ですよね。軽快な第2楽章、ゆったりとしたラルゴの第3楽章、第4楽章は「熱情」のコーダのように激しい音楽ですが、まさに全力での演奏でした。 いやぁ素晴らしかった!スタンディングオベーションで演奏を讃えるお客さんが多かったです。汗びっしょりでしょうね。アンコールはショパンのノクターン遺作。1曲だけでしたが、実に美しい演奏でしたよ。まだまだ聴きたいと拍手が鳴り止みませんでしたが、これだけのプログラムですからね。
本当に聴き応えがあり素晴らしい演奏、そして素敵なプログラミングでした。
ここのところ凹む事が連続で起きて、ため息ばかりついていましたが、及川さんのリサイタルを聴いて元気を貰いました。 早く家に帰ってピアノ弾きたい!そんな気分になりました。