王女のために書かれたソナタ/ドメニコ・スカルラッティ

昨日は、お天気が良かったのもあり、札幌まで出かけて楽譜を色々見てきた。主にコンクール用のと、コーラスなど発表会で使えそうな楽譜を店員さんにお話を伺って選んできた。簡単に見つかるかと思っていたが、スカルラッティの曲だけが、探せども探せども見つからなかった。「 K.63 L.84ト長調」は、たまたまお店に在庫が無かった春秋社版の第1巻に掲載されているそうです。

ジュゼッペ・ドメニコ・スカルラッティ(1685~1757)は、イタリアのナポリ生まれ。父親のアレッサンドロ・スカルラッティはバロック時代の有名な作曲家だったそうです。調べてみると、ドメニコも父親の影響でオペラ作曲家としてデビューしていたのですね。知りませんでした。オルガンやチェンバロの名手でヘンデルと競演したこともあったとか。ドメニコはポルトガル王女マリア・バルバラに生涯にわたってチェンバロを教えるようになったのですが、なんと555曲も王女のためにソナタを書いたのです!スカルラッティのソナタは単一楽章の短いものばかりですが、とても明快で洗練された曲が多いですよね。555曲全て知っているわけではありませんけれども。

中学生の時に聴いた、ホロヴィッツのスカルラッティがお気に入りでした。中でも暖かな春の日差しを感じるL.23ホ長調が大好きです。そうそう、このLですが、Alessandro Longoという人の整理番号に従ってLongo番号が付けられていますが、モーツァルトのK(ケッヘル)と同じようなものなのでしょう。しかし、更にKのKrikpatrick(カークパトリック)番号もあって、555曲もあるのに作品番号が覚えられません…。

555曲の中で、2番目に好きな曲は、L.413ニ短調。トッカータ Presto。同音連打の激しい曲です。これは高速で歌いながら弾くワッツの演奏が最高です。何年も前になりますが、アルゲリッチがPMFで札幌に来た時、アンコールでこの曲を弾いたのです。猛烈なスピードで!会場の誰もがびっくりしたと思いました。

はじめさんの友達でクラシック音楽にとても詳しいTさんが、北海道に遊びに来られた時にお土産に頂いたCD。イーヴォ・ポゴレリッチのスカルラッティなのですが、これがなかなか面白い演奏で良いです。ポゴレリッチは一度だけ札幌で聴いたことがありますが、1997年だったから、このアルバムを録音した6年後の事ですね。それにしても、ショパンコンクールの中に出てくる彼の演奏はショッキングでした。心を奪われそうになるくらい。映像に何度も出てくる彼の師であるケゼラーゼと結婚したというのも驚きでした。21歳年上の最愛の奥さまを1996年に亡くされたので、札幌公演はその翌年の事だったのですね…。

みかこ