水面下の白鳥の如し

日曜日に発表会が終わって、「狩」と「ラ・カンパネラ」を弾く回数は一日に1,2回程。それがキツイのだ。すぐに筋力が落ちているのを痛感する。発表会に参加できなかった生徒さんに聴いてもらうと、「ラ・カンパネラ」ってそんなに派手な曲でしたっけ?」とのコメントだった。なるほど。

聴く分にはメロディーがゆっくり流れていて優雅な曲だが、奏者は、まるで水面下の白鳥のように、凄まじい音の数と跳躍を繰り広げながら繊細な鐘の音を奏でなければならない。そして、最後の最後に大音響で鐘を鳴らす。どちらも難しいが、私はカンパネラは最初の方が怖いと感じる。目をつぶっても弾けるくらい練習したが、それでもテーマの後、大事に弾こうとしてタイミングを外し音も外れてしまった。止まりはしなかったが、冷や汗が出た。あの後、よく立ち直ったと思った。それでも演奏後の表情は渋い。

ケアマネージャーさんに「凄かったですよね。全然、緊張してないのですよね」と言われた。いやいやとんでもない。しかし、あの辛口の母も「良かったわ」とボソリ。母は初めて最初から最後まで客席で聴いていたようだが、得意気にケアマネージャーさんにプログラムの解説をしていたと聞いた。母は、うちの発表会は面白いと言ってくれる。プログラムを渡すかどうか迷ったが、楽しんでもらって良かった。

昨年までは、会館のピアノはただ音が鳴らないだけであったが、今年は中央付近だけ何者かの手によってフェルトが張り替えられていたという。何故、中央だけ!?それは恐らく手間を省いて料金を安くあげるためだったのだろう。それによって、うちの調律師さんは多大な労力を強いられたはずだ。公共のピアノなのに、勝手な事をするのは許せない事だと思う。オーバーホールをやるなら、ちゃんとやって欲しい。しかし、そんな事を感じさせないほど完璧な調律で、私が何も知らずに弾いていると、Sさんは「結構、良い音が鳴っている」と、心の中で思っていたそうな。会館のピアノの鍵盤が象牙で、これがまた滑らずにグリッサンド奏法に苦労した。今年は調音パネルの効果が絶大だったので、できるだけ軽く弾く事に専念し、返ってくる音を聴いて弾けた事が集中に繋がったのだと思う。

今日は”ドラマティック・c mollの日”とした。バッハ:平均律2番、シューベルト:インプロンプチュ90-1,ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ「悲愴」。シューベルトの90-1は、「魔王」を彷彿させる所もあって面白い。Op.90は4曲並べて弾けたらと思う。今日は、1番c mollの後、4番と3番で力尽きた。

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