ピアノとの関わり&人との関わり

またキャンセルになった。連絡がないから今日はレッスン出来ると思っていたら、なんとレッスン時間丁度に電話が鳴った。ん、今日でもう数回も変更しているし、午前中に入れたので歯医者さんへ行くのは午後にしていたのに。呆れて怒る気にもならないが、具合が悪いのは確かのようだ。精神的なものなのかしらね。変更の変更は欠席であり、これ以上はキャンセル料が発生するのだけれど、それでも来る意思が硬い…。どうしたものか。朝から何だかドンヨリとした空気に包まれながら練習に切り替えた。

遠い昔。彼女の師であったI先生は私の教え子なのだが、私のかつての声楽の先生の元にレッスンに行って問題を起こしてしまった。先生から電話があってカンカンに怒っていらした。受験に備えてのレッスンではあるけれど、先生は基本的な事も含めて試験曲だけのレッスンは考えていらっしゃらないと。当然です。しかし、Iさんは、手っ取り早く、試験に出る事だけをレッスンして欲しいと言ったのだという。言い方とか態度にも問題があったのだと思うが、まさかそんな事を言うとは皆目検討もつかなかったので、私もただただ驚いて先生の剣幕を電話越しに聞いていた。そして、教えられないとおっしゃったのだ。私にも離しなさいと。とりあえず、Iさんに電話したが、彼女は呑気に札幌に出かけたまま遅い時間になっても帰ってきていない。もうこれで教室の生徒さんを先生の所で見てもらうことは絶たれたと思い愕然とした。寛大な声楽の先生がここまで怒るのだから、恐ろしい、いやいや、もっと厳しいピアノの先生にはとても紹介できないと思った。周りが離せ離せ言うなか、Iさんは毎日電話をかけてきた。何日、知らないと言っただろう。それでも電話がかかってきた。

「私からピアノを取ったら何も残らない」。これは名セリフですね。私は彼女のこの台詞を一生忘れないと思う。(笑) 結局、ピアノも声楽も楽典もソルフェージュも私が見ることとなり、無事に彼女は合格したわけだが、独りで全部引き受けた私はそれは大変だった!!卒業してピアノ講師として活躍していたが結婚する事となり、Iさんの教え子が高3の時に私の所へ来た。Iさんと同じように、声楽もピアノも楽典もソルフェージュも私が見ることとなり、無事に合格した。紹介しなかった恐ろしいピアノ先生、いや厳しい先生には、なんと大学で習うこととなり、驚いたことに恩師は彼女を気に入っているご様子だった。しかも、私の所で引き続きレッスンを受ける事を賛同して下さって、彼女は大学で恩師に、そして、わざわざ余市まで通って私のレッスンを受け続けた。社会人となった今では、もうIさんを教えた年月を遥かに超えているだろう。彼女のレッスンを通して、恩師が随分と変わった事も知った。私には手に余る曲をと口を酸っぱくしておっしゃっていたのに、彼女に与えている曲は、私からは考えられないような難曲だった。それも彼女の才能なのでしょう。

子供の頃から関わってきたピアノの存在は大きいのだと思う。口では辞めると言っても簡単なものではなさそうだ。

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