ボリス・べレゾフスキー ピアノ・リサイタル

2013年11月20日(水)
場所:東京オペラシティコンサートホール
ピアノ:ボリス・ベレゾフスキー

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●ラフマニノフ
前奏曲 変ロ長調 Op.32-2
前奏曲 ホ長調 Op.32-3
前奏曲 ホ短調 OP.32-4
前奏曲 ト長調 OP.32-5
前奏曲 イ長調 OP.32-9
前奏曲 ロ短調 Op.32-10
前奏曲 変ニ長調 Op.32-13

ピアノ・ソナタ第2番 変ロ長調 Op.36(1931年改訂版)

Ⅰ.Allegro agitato
Ⅱ.Non Allegro Lento
Ⅲ.L’istesso tempo.Allegro molto

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●ドビュッシー
前奏曲集第1巻から
1.デルフの舞姫たち
3.野を渡る風
6.雪の上の足あと
7.西風の見たもの
8.亜麻色の髪の乙女
9.とだえたセレナード
12.ミンストルズ

●ラヴェル
夜のガスパール
オンディーヌ
絞首台
スカルボ

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《アンコール》

ドビュッシー:「映像」第1集より 水の反映
チャイコフスキー:「四季」より 10月秋の歌
レビコフ:ワルツ
ドビュッシー:「映像」第1集より 運動
ショパン:練習曲集 第1番Op.10-1

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本来なら聴く予定ではなかったコンサートでした。しかし、21日のアンドレ・ワッツの転倒による公演中止で急遽前日のベレゾフスキーのチケットを購入したのでした。結果、よくもまぁこんな素晴らしいコンサートを聴くことが出来た!と大満足でした。開演前にベレゾフスキーが今夜弾く5曲のアンコールを当てようクイズがあり、全曲当てた人はロシア料理にベレゾフスキーが招待なんて書いてありました。早速、私たちも書きました。チャイコフスキーとショパンのヒントがあり、私はチャイコフスキーの秋の歌だけ当たりました。これでも凄いと思いました。それにしても、レビコフなんて知りませんよ。もちろん該当者なしです!

前半はラフマニノフ。大きなベレゾフスキーの登場!私たちはギリギリにチケットを買ったので、縦長の会場の結構後ろの方でした。ちょっと遠いなぁと思いならが聴いていましたが、ピアノが鳴る鳴る。轟くように鳴る!そして、囁やくようなピアニッシモを自由自在に奏でられるのがベレゾフスキーの魅力なのでしょうね。はじめさんは全く知らないピアニストだと言っていましたが前奏曲から圧倒されていました。本領発揮はピアノ・ソナタ第2番。ラフマニノフならではの哀愁に満ちた叙情的な曲で人気がありますが、ベレゾフスキーが弾くと厚みが物凄いです。オーケストラと共演しているような錯覚にとらわれました。いやいや確かに独りで演奏していました。冒頭から引きこまれてしまいましたが、第3楽章まで、これほど短かく感じた事はなかったです。後半はどうなってしまうのでしょう。

後半はドビュッシーから。ベレゾフスキーのドビュッシーって合わないのではないかと思っていましたが、柔らかいタッチから紡ぎだされる音に、もううっとりでした。特に「亜麻色の髪の乙女」がそうでしたが、会場も水を打ったようにシーンとなって、その繊細な音を聞き逃すまいとしていましたね。次は同じ印象派のラヴェル。一番楽しみにしていた夜のガスパール。明らかにドビュッシーの時と音質が違うのです!そこにはもう暖かさは感じられなく、冷たく金属的な音なのです。同じピアノでこんなに音質を変えて弾けるものなのでしょうか。絞首台なんて、不気味な鐘の音が鳴るたびにゾクッとしてしまいました。リアルな体験でした。さぁスカルボ。この超難曲でもベレゾフスキーの手にかかるとたやすく見えました。最初は小さかった悪魔が会場内を走り回り、やがてとてつもなく巨大な悪魔へと変貌していくのですが、聴いたことがないような爆音というか轟音というか、それが耳に痛くはないのですが、怖かったです。いやぁ凄いとしか言いようがない演奏でした。会場も興奮の嵐。

いよいよ、第3部とも言えるアンコールが始まりました。スカルボの後にリストのメフィスト・ワルツを聴きたかったのですが、ドビュッシーの水の反映が来るとは全く予想がつかなった。良い意味で裏切られました。これが今まで聴いたどのピアニストよりも良かった。ミケランジェリより良かったかもと思える名演でした。もう涙が止まらない。はじめさんも泣いてました。(想い出の曲ということもあり)次に秋の歌なんて弾かれたら、もうメロメロです。なんだか考えながら5曲弾いているようにも見えましたが、拍手を入れずに立て続けに弾くわけですから大変ですよね。レビコフは誰も分からなかったでしょう。良い曲でしたが…。そして、4曲目もドビュッシーですから、会場にマッチしていたのだと思います。最後のショパンのエチュードだけが、唯一苦労していました。Op.10-1恐るべしだと改めて思いました。それでも終わったら大拍手の嵐でした!なかなか拍手が収まらず、最後は会場に投げキッスをしていました。(笑)

コンサートにはよく出かけますが、これほど良かったと思えるコンサートって実はそう多くはないです。まさに一期一会の世界で、演奏者、会場、聴衆と揃っていないと叶わないのですが、今宵は本当に良いコンサートを聴くことが出来て東京まで来た甲斐がありました。これから益々楽しみなピアニストだと思います。

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