ショパン バラード第1番 ト短調 Op.23

子供の頃、ホロヴィッツが弾くショパンのバラード第1番が好きで好きで、それこそレコードが擦り切れるほど聴いたのではないだろうか。だから、この曲を実際に勉強した時は、耳で聴いたものとは、かなりイメージが違った。当たり前だと思う。それでもステージにかけたくて若い時にトライしたのだが、いま思うと、ちょっと早まってしまったなぁと思う。勿体無かった…。

今、再び練習しているのだが、悪い癖を直すのにまず苦労している。しかし、あの時とても苦労した箇所が、ハノン全曲を3ヶ月弾いたことの成果が実ったのか、楽に弾けるようになっている事にも驚いている。今はリハビリ・ショパンでエチュード2曲とバラード1番を練習しているが、来年はバルカローレ・幻想ポロネーズ・スケルツォ第2番などを勉強してみたいと思っている。

ショパンのバラードもいずれ全4曲弾くのが夢だが、1番と4番が圧倒的に好きで、2番は譜読みだけ、3番は楽譜を目で追いながら聴く(数知れない程)という作業まで。スケルツォよりも断然バラードの方が好き。

シューマンはバラード第1番をショパンの作品の中で最も気に入っていたようだが、バラード第2番を献呈された時、その斬新な音楽に戸惑ったそうな。献呈されても嬉しくなかったのかも知れない。夢見るような静かに始まる音楽から、猛り狂うような激しさは、私も子供の頃に初めて聴いた時、かなり驚いた!あまりにも対極で。しかし、そのコントラストが魅力だとも思う。そして、コーダがカッコイイ。何度か弾こうとトライするまで勉強したが、これはまだ封印している。

第1番は、おじいちゃんが暖炉の前で静かに語りかけるような感じで始まるように弾く。それが徐々に高揚していくのだが、ちょっとコントロールが難しいほど激してしまうのだけれど、やはりクールに演奏しなければと思っている。若い時は、こういう箇所を走って苦しい演奏となったので、年齢的にも落ち着いて堂々と演奏したいと思う。でも、ゆっくり弾くのは案外難しいものだと今でも思う。

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