唐突な電話は、びっくりするだろうなぁと思いつつ、ちょっとドキドキしながら、今は年賀状のやりとりだけになっている音大時代の友達に電話をした。かれこれ何年が経過しているか数えるのも嫌になる程なのに、一瞬、タイムスリップしたのではないかと思うくらい受話器から聞こえてこる声は全然変わっていない!
「全然、変わっていないねぇ。」
「うん、マイペースだから!」
相変わらずパワーのある声に圧倒される。
彼女のピアノには、いつも圧倒されっぱなしだった私だが、
今も変わっていないのだろうなぁと思うと、なんだかホッとした。
この歳でリストだのラヴェルだのを毎年ステージで弾いていると、
ちょっと呆れがちに「現役なんだね」などと言われ、
ショック状態に陥るのだけれど、彼女は違った。
「弾く事」が「現役」だという考えは私には理解できないし、
怪我でもしない限り、弾かなくなったらおしまいじゃないのかとさえ思う。
なんとなく勉強を放棄したようにも感じる。
しかしながら、人前で弾くという事は勇気のある行為で、そう簡単にはいかない。
でも、弾く事は多分一生やめられない。
だから、今もなお師を求めるのだと思う。
そんな事を話しつつ、再会を楽しく思う今日この頃である。
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