「膝蓋骨脱臼」は犬に起きる事が多いようで、ネットで調べるとワンちゃんの症例ばかり出てきた。(^^;
根気良く調べると、同じような症状に苦しんで手術を受けた人が居ることが分かった。担当医から10代の女性によく見られる症状と聞いた。しかし、私はこの度の怪我で初めて「亜脱臼」という言葉を聞いた。
●亜脱臼とは、お皿の骨が普段ある位置から関節が外れそうになっている状態で、外れかかっている状態から自然に元に戻った(整復)状態
●脱臼は、骨と骨を繋ぐ関節から完全に外側に外れた状態
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小学6年生の春。お昼休みに校庭で数人の友達とゴム飛びをして遊んでいた。ゴムのバーを下げてくぐる。クリアするとバーはどんどん下がっていく。私はこの遊びが得意だった…一瞬何が起きたか理解できなでいた事を覚えている。目には青空が飛び込んできた。ようやく、右膝に異変が起きたと悟った。その後は学校からどのようにうして町の整形外科へ行ったのか記憶が途切れているが、亜脱臼だったから歩けたのだろうと思う。
膝が腫れていて、太い針を刺された!とても痛くて驚いた。医師は、「こんなに血が溜まっていたよ」と言って私に見せた。そして、3週間入院する事になった。12歳になったばかりで、楽しみにしていた修学旅行に行けなくなり、しかも3週間も入院という出来事を受け入れる事はなかなか難しかったと思う。このアクシデントで、それまでぐんぐんと伸びていた身長がピタッと止まった。母が言うには、私はかなりマセた子だった。難しい本を読み、12歳にしては大きかったので、周りの大人の患者さんに高校生だと思われていた事を知り驚いた!
退院してから医師には特に何も注意されず、体育の授業にも出ていた。しかし、すぐにまた同じ症状が起きて、真っ青になった。治らなかったのだ!腫れた膝に、また太い針を指し溜まった血(水)を抜き、シップを貼って、「安静にするように」とだけ医師は言った。暫くして、繰り返し同じ事は起きるので、親は小樽の整形外科に病院を変えた。しかし、同じ処置しか出来ずに、ひたすらに気をつけて、でも簡単に同じ事が繰り返し起きて、その度に処置をしてもらっていた。
中学の時はスポーツを諦めた。それでも、日常生活でさえも繰り返し起きる。人にぶつかって転んだ時、多くは雪道などで滑って転倒した時に起きた。体育の授業時間は、音楽室が空いていればピアノを弾いていても良いからと担任が言ってくれた。中学の時は修学旅行に参加出来たけれど、奥入瀬渓流はバスで待機するように言われた。先生方も神経を使ったのだろうと思う。
坂の多い小樽での高校生活も、この膝の症状に苦しめられた。亜脱臼したまま休めずにピアノのレッスンに行った。坂を登りきった高い場所に先生のお宅があった。大体、2週間くらいすると膝は元に戻った。
大人になっても繰り返し亜脱臼は起きて、延べ一体何回起きたのだろうか…。他に治療法がないか、手術はできないかと聞いてみたが、出来ないだった。いま思えば、随分と受け身だったのだと思う。せめて亜脱臼しないようなサポーターとか探すべきだった。「一度、他の病院へ行って内視鏡で調べてもらった方が良いよ」と、医師がボソッとつぶやくように言った。亡くなる直前の事だった。そして、ついに亜脱臼ではなく、脱臼が起きた!