まちがったでしょ

生徒さんの感想文もだいぶ集まってきた。やはり、人の演奏を聴く事は刺激になるようで
もっと上手になりたい。発表会に参加してピアノがもっとおもしろくなった。などなど。ただ、毎年気になるのは、「まちがえてしまいました」とそれだけがクローズアップされている文章も多い事。

親御さんからも「まちがえたでしょ」と言われると、軽く言っているつもりでも子供は思った以上にショックを受けるのだ。ステージでのミスは、本人にはものすごく大きな失敗をしたかのように感じ、動揺し、パニックになることもある。

長年そういう事を経験してきたベテランの生徒さんは、どういう演奏が魅力的なのかが学べたと書いてあった。彼女も曲の立ち上がりでミスをし、いつもならそこから崩れてしまいがちで、早く終わりたいと思う気持ちが強くなるのだそうだが、今年は、とにかく心を込めて歌おうという気持ちが、ひしひしと伝わってくる演奏だった。

ミスをしないに越した事はないけれど、魅力的な演奏となるとそれだけではない。人を惹きつける音、表現が豊かで、何を伝えたいのかがわかる演奏が魅力的な演奏なのだと思う。もちろん、つっかえ弾きではいけない。

「来年は絶対まちがえない」ではなく、「来年はもっと魅力的な演奏をして聴く人をうっとりさせたい」くらいの文章を書いてもらいたいものだ。

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