グレン・グールドの演奏は模範的ではないという台詞をよく耳にしてきたが、
中学の時、バッハの「インヴェンションとシンフォニア」のレコードを擦り切れるほど聴いた。
そして、今またCDで聴いてみると、やはりグールドの演奏は感動的なのだ。
テンポ設定が凄く遅い曲や速い曲があり、おっ!?とびっくりするのだが、
そんな事はおかまいなしに自由自在に自分の音楽に浸っている、
というより没頭しているという方が合っているのかも知れない。
面白くてグールドのバッハシリーズは何枚も持っている。
ウォーミングアップにバッハのインヴェンション15曲弾く。
1日にそれを2回弾く。次はシンフォニアも合わせて弾くようにしたい。
アンドラーシュ・シフがリサイタル前日に恩師宅で練習した時の事を
高校生の時に恩師から聞いたのだが、リサイタルの曲は弾かずに
バッハのインヴェンションをゆっくり弾いていたというのが今でも忘れられない。
雑念を捨てて音楽に向き合えるからなのだろうか。
私自身はバッハの音楽とはそんな風に接してきた。
子供の頃に習っていた先生はバッハはツェルニーと同じように
練習曲として考えていたようだ。全て暗譜仕上げ。
弾き込んで流れるように演奏できたら合格だった。ふと、練習嫌いな大人の生徒さんの
学生時代の事を思い出した。そう学生の時は暗譜が当たり前のレッスンをしていたのに、
社会人になってから練習が激減。今は発表会でなんとか暗譜し、暗譜がゴールになっている。
方向転換に暗譜がゴールではなく、暗譜をスタートにしたレッスンをしてみようと思う。
ピアノは弾けたら、やはり楽しいし、音楽的なレッスンになるように、
せめて暗譜くらいしてスラスラ弾けなくちゃね。
初心を忘れるべからず。
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