ユリアンナ・アウデーエワ ピアノリサイタル

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2016年10月28日(金)
すみだトリフォニーホール
ピアノ:ユリアンナ・アヴデーエワ

program

●ヨハン・セバスチャン・バッハ:イギリス組曲 第2番 イ短調 BWV807

●フレデリック・フランソワ:ショパン:バラード第2番 ヘ長調 作品38

4つのマズルカ 作品7

1.変ロ長調 2.イ短調 3.ヘ短調 4.変イ長調

ポロネーズ 第6番 変イ長調 《英雄》

intermission

●フランツ・リスト:悲しみのゴンドラ

凶星!

リヒャルト・ワーグナー ヴェネツィア

ピアノ・ソナタ ロ短調

Encore

ショパン:ノクターン遺作

リスト:リゴレット・パラフレーズ

ショパン:ワルツ第2番

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前回のショパンコンクールの覇者。いつもパンツスタイルで颯爽と登場する姿がカッコイイですよね。TVで演奏を聴いた時、特にリスト作品に感銘を受けました。膨大にある編曲物をピアニストはもっと弾くべきだと語っていたのが印象的でした。リサイタルを聴くのは初めてです。

東京はジェットコースターのように寒暖の差があり、この日は一気に寒く雨が降っていました。横浜中華街でブランチ。六本木ヒルズでマリーアントワネット展を見て、錦糸町で食事をして出掛けました。いつもの事ですが、盛りだくさんのスケジュールです。席は1階席真ん中より少し後ろでしたが、随分と遠く感じました。しかし、よく奏者が見える席でした。

programはバッハから。とても端正な演奏という印象です。ショパンに入ると、やはり会場の空気が変わるのを感じます。何処で聴いても日本人はショパンが大好きです。前半は、やや大人しい感じ。端正な演奏なだけに、ミスがやや目立ちそれが意外でした。案の定、はじめさんは前半が終わると「2回くらい危なかった」と言っていました。「英雄ポロネーズ」はオクターブ奏法が両手から左手に移行する時に違う音が鳴って、ちょっとドッキリしました。きっと本人もだったと思いますが、そこは流石で、終盤にかけて盛り上がりを見せて会場から「ブラボー!」と声が。

喉が渇いたので何か飲みたかったのですが、カフェは満席でした。係の人に水飲み場を聞いて落ち着きました。さぁ、後半はオール・リスト。晩年の作品が続き、私は「悲しみのゴンドラ」しか知りませんでした。この作品はヴェネチア滞在中にワーグナーを訪問した時にワーグナーの死を6週間前に予感したそうです。亡骸を乗せたゴンドラが運河を下っていく光景なのですね。舟歌の優雅なリズムが一層悲しみを感じました。

programの最後は「ロ短調ソナタ」。今月は女流ピアニストによるロ短調ソナタを2回聴けて幸せでした。後半から明らかに良くなっていくので、はじめさんは「リスト弾きなんだね」と呟いていました。単一楽章なので約30分間一気に演奏されますが、悪魔と天使が交互に登場するような感じです。つい先程見てきた「マリーアントワネット展」と重なって聴いていました。国王ルイ16世、マリ・アントワネットが処刑された時、8歳のルイ=シャルルはルイ17世となるのですが、自分が国王になった事も知らず、劣悪な環境の中で幽閉されて苦しみながら10歳で死んでしまいます。鎖に繋がれたシャルルの銅像が1番悲劇を物語っていて辛いものでした。最後は静かに静かに天に昇っていくような感じです。暫く静寂が続き、そして次の瞬間に大きな拍手に包まれました。

Encoreはショパンのノクターン遺作。大曲を熱演されたので、1曲だろうと思っていると、まさかのリゴパラ!隣から「おぉっ!」と声が聞こえてきました。はじめさんが言うようにリスト弾きなのでしょうか。私は重音の同音連打で物凄く苦労しましたが、なんと軽々と演奏されるのでしょう。溜息が出ました…。素晴らしかったです!そして、驚きの3曲目!ワルツ2番の自信に満ち溢れた典雅な演奏を聴くと、コンクール覇者の貫禄を感じました。どんどん良くなって最後は大興奮でした。いやぁ東京まで聴きに来た甲斐がありました。良い演奏会に恵まれました。

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