辻井伸行 日本ツアー《バッハ・モーツァルト・ベートーヴェン》

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3月29日(水)
札幌コンサートホールKitara大ホール
ピアノ:辻井伸行

program

●J.S.バッハ:イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971

●モーツァルト:ピアノ・ソナタ第17番 変ロ長調 K.570

Intermission

●ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2《月光》

●ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 作品57《熱情》

Encore

●ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第8番 第2楽章

●辻井伸行:風の家

●ショパン:革命

●ショパン:別れの曲

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初めて辻井伸行さんのピアノリサイタルに出掛けました。それにしてもKitara大ホールがほぼ満席。とにかくロビーは人・人・人で溢れかえっていました。凄い人気ですね。私は3階席の1番後ろの席で聴きました。3階席は小澤征爾さんの時以来です。

プログラムはバッハのイタリア協奏曲から。とても大好きで懐かしい曲でもあります。新しい先生の門を叩いた時に、この曲を持っていったのですが、「バッハを持ってくるなんて、あなた良い度胸しているわね」と言われました。私自身が選んだわけではなくて、それまで師事していた先生が選んだ曲でした。でも、面白くて夢中で練習した事を覚えています。辻井さんはコンサートでバッハを取り上げるのは初めてなのだそうです。生き生きとした音が3階席まで響いていました。しみじみとした第2楽章を挟み、躍動的な第3楽章へと続きます。

前半の2曲めはモーツァルトの変ロ長調のソナタ。変ロ長調というと平和とか穏やかなイメージがあります。とてもチャーミングで綺麗な音に癒やされました。

後半はベートーヴェン。《月光》の第1楽章は私はあまり遅く弾くのは好きではなのですが、辻井さんの演奏、テンポがとても好みでした。とにかく音が綺麗ですよね。そして、驚く程聴きやすい。満席の大ホールが、こんなに静寂だったのを私は知りません。それ程、熱心に聴き入っている聴衆。最後の余韻まで!月光の第3楽章は激しい曲ですが、軽々と、しかしダイナミックな魔法のような演奏だなぁと思いました。

《熱情》でさえも軽々と、なんだか楽しそうに見えます。組み立て方がとても上手く、小気味良い演奏です。ずっと聴いていたいと思いました。恐らく会場の誰もが思っていたのではないでしょうか。

アンコールはパセティック。良い流れですよね。美しい旋律にうっとり。奏者も聴衆も最後の余韻に浸っていました。素晴らしい!ここで辻井さんはマイク無しで会場に挨拶。マイク無しでも、聞き取れました。「盛大な拍手にお応えしまして自作の曲を弾きたいと思います」と言うと、会場から笑いが起こりました。明るくて純粋無垢な辻井さんの人柄がそのまま詰まった曲でした。この曲がラストだと誰もが思って、お客さんは立ち上がりかけたのですが、なんと3曲目のアンコールは「革命」。拍手が鳴り止まず、まさかの4曲目「別れの曲」。あまりにも有名な曲が続くので、会場からクスッと笑いが起こりました。それにして、弱音が尋常でないくらい美しく、しかも存在感たっぷりに演奏されるので鳥肌が立ちました。最終電車に間に合うかギリギリのところですが、後部座席の中央に居て、誰も動こうとしないですし、これだけの人が移動するので地下鉄まで大渋滞でした。

日本ツアーの最後が札幌公演だったのですね。辻井さんはKitaraのホールがお気に召したようで、時間が許したらもっと弾きたいという感じが伝わってきました。聴衆のマナーがこんなに良かったコンサートは初めてです。それだけ辻井さんの人柄も辻井さんのピアノ演奏も愛されているのですね。心が暖かくなる素晴らしいコンサートでした。3階から階段で降りる時に女の子が「あぁ面白かった!」とニコニコしていました。

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