苦い思い出「水のいのち」

合唱曲の名曲 「水のいのち」 作曲:高田三郎 作詞:高野喜久雄
発表会で取り上げるのは、この組曲の第1曲目「雨」。そもそも、何故、ピアノ発表会でコーラスを取り上げるようになったのかというと、指揮者が居なくても、ピアノ伴奏だけでどれだけ歌えるのだろうという試みからだった。最初に歌ったのは、混声合唱の名曲「流浪の民」。その年にシューマン特集を組んだ事、ご父兄の中に素晴らしいソプラノ歌手が2人、ブラスバンドを指導する高校の男性教諭など、メンバーも揃っていて短期間の練習ではあったが、若い頃、私が伴奏していた合唱団の長期間歌っていた出来より上をいくレヴェルだった。これには驚かされたし、感動もした。それをきっかけに、最近は毎年取り上げるようになったコーラスなのだが今年は、いよいよ「水のいのち」をやってみようかと思う気持ちになった。合唱団で伴奏をしていた時に、私はこの組曲が好きで密かに惚れていた。そう、ドレスまでオーダーメイドで作ったのだ。しかし、残念な事に指揮者の指導力不足で、全然歌えなかったのだ。特に第1曲目の「雨」は凄まじい程、リズムがメチャクチャで伴奏していると気が狂いそうだった。それなのに、2週間後に遠征して、幾つかの合唱団が集まる中、「雨」を含む3曲を発表する事になっていた。譜読みも出来ていないような状態で、あまりに無謀過ぎる話だった。ところが、指揮者もトップの考えも甘く、どうにかなるでしょうという感じで、抗議してみたけれど私が若かったのもあり、通じる相手ではなく降板にされたのだ。代表者が言った台詞は「アマチュアだから、音楽を楽しめれば良い。プロではないのだから、そこまで歌えなくても良い。」だった。しかしながら、団員の中には「練習しますから、どう歌ったら良いでしょうか」と言ってくれる人も何人か居て、その人たちの表情が忘れられないままだ。そんな苦く痛い思いがあり、避けていたのだが、今年はリベンジをかけて臨みたいと思っている。15人で歌う予定なので女性コーラス用の楽譜を使う事にした。生徒さんに楽譜を渡したところ、みんな「凄く良い曲だけれど、難しい…」と声を揃えて言う。歌詞も素敵で難しく、本当にこの「雨」は難曲だなぁと思うのだ。ただ名曲だからと手を出す前に、実力を考えて選曲するべきではなかったのかと今更ながらに思うけれど、慈愛に満ちたこの歌詞を読み返してみると、過ぎ去った苦い思いも少しは和らいできた今日この頃である。歌詞は以下の通り。

降りしきれ 雨よ 降りしきれ
すべて 立ちすくむものの上に
また 横たわるものの上に

降りしきれ 雨よ 降りしきれ
すべて 許しあうものの上に
また 許しあえぬものの上に

降りしきれ 雨よ わけへだてなく
涸(か)れた井戸 踏まれた芝生
こと切れた梢 なお ふみ耐える根に

降りしきれ そして 立ちかえらせよ
井戸を井戸に 庭を庭に
木立を木立に 土を土に
おおすべてを そのものに そのもののてに

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