谷川俊太郎さんの詩に武満徹さんが音楽をつけた面白い曲がある。車旅の時にたまたまかかったCDの中にその1曲「とおく」が入っていた。印象的な詩で、女の子の語りに音楽が重なる。詩の一部を紹介するとこんな感じ。ちょっと不思議な世界に誘われます。
このままずうっとあるいていくとどこにでるのだろう
しらないうちにわたしはおばあさんになるのかしら
きょうのこともわすれてしまっておちゃをのんでいるのかしら
ここよりももっととおいところで
そのときひとりでいいからすきなひとがいるといいな
そのひとはもうしんでてもいいから
熱帯魚は死期が近づくと、とおくの方を見ている感じがする。旅立つ覚悟と、その準備をしているのだろうか。ミッキーマウス・プラティの「いじけ」が旅立ってから、「ハイフィン」は、張り合いがなくなったようにポツンと水槽の片隅に居る事が多くなった。どうしたのだろうと心配していたら「松かさ病」という病気にかかってしまった。プラティが松かさ病にかかったのは初めてだ。どうして「ハイフィン」が…。鱗が立ち上がり、お腹が大きく膨らんで、見ているのが辛くなる。昨日までは、ごはんもイトミミズも食べていたけれど、今日は何も食べなくなってしまった。水槽の上にポツンと浮かんでいる。そして、とおくを見ているのだ。